一身専属権とは 2022.6.6
民法第896条では、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものはこの限りでない。」と定めています。
一身専属権とは、特定の者のみに帰属し、他者に移転しない性質の権利のことを言い、個人の人格や才能、あるいは個人としての法的地位などとの間に密接不可分の関係にあるために、他人による権利行使を認めることが不適切な権利義務です。
一身専属権の例としては次のような権利があげられます。
①扶養請求権
これは扶養を要する扶養権者の要扶養状態や扶養義務者の資力などの要件が必要ですので、扶養義務者の死亡により、当然に相続されるというものではありません。
② 著作者人格権
著作権とは、著作者が経済的な利益を得るための財産権であり、売買、相続の対象となります。
これに対し、「著作者人格権」とは、著作者が精神的に傷つけられないようにするための権利であり、創作者としての心情を守るためのものであることから、これを譲渡したり、相続したりすることはできないこととされています。(著作権法第59条)
③身元保証人の立場
身元保証人の立場も相続になじまないため相続されません。
なお、身元保証人と違って通常の保証債務(被相続人が第三者の債務の保証人になっていた)は相続により承継されます。
④生活保護受給権
受給権者の要保護状態等の要件が必要ですので、受給権者本人に専属する権利であることから、相続の対象とはなりません。
その他にも医師免許や弁護士、税理士の資格などは相続されないといったものもあり、これらの権利は承継して相続人が恩恵を受けたり、処分して換価できる財産となり得ないため、相続財産になりません。
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