相続税の債務控除 2018.2.21
相続税の計算上、一定の要件に該当する相続人又は包括受遺者(相続人等)については、相続又は遺贈により取得する財産の価額から、被相続人(亡くなった方)が残した借入金などの債務の額のうちその相続人等が負担する債務の額を控除することが出来ます。
条文上、控除できる債務は、「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの」と規定されています。例えば、ローンなどの借入金、被相続人が亡くなるまでにかかった医療費等で課税時期(相続開始日)において未払であるもの、未払の所得税・住民税・固定資産税などが該当します。
被相続人がアパート経営をしていた場合などには、賃借人からの預り保証金・預り敷金なども含まれます。
ただし、お墓の購入費用などのための借入金債務は控除することが出来ません。これは、「お墓」という財産には課税しない代わりに、その取得のための債務は控除を認めていないという考えでしょう。
被相続人が他人の借金の保証人になっている場合はどうでしょう?v
この場合は借金をしている人が飛んでしまって、被相続人が実際に借金を肩代わりするようなことになっていないと債務として認められません。「相続開始の際現に存するもの」ではないからです。
また、相続手続のために必要な戸籍謄本等の取得のためにかかった費用や、相続税申告のための税理士報酬、不動産の名義変更のための司法書士報酬なども「被相続人の債務」ではなりませんので、債務控除の対象とはなりません。
同じく「被相続人の債務」ではないのに、債務控除の対象として認められているものがあります。葬式費用です。
相続開始に伴う必然的支出であることなどを考慮して、控除の対象とされています。
ただ、お葬式に伴う支出であるにもかかわらず、香典返しのための費用や、初七日、法事などのための費用は控除が認められていません。
債務控除は、結果的に相続税の負担が和らぐことになり、納税者にとっては有利な制度です。
逆の立場から見れば「本来対象外のものを債務控除の対象としているのではないか?」と目を光らせているのではないでしょうか。
葬式費用については、前述の通り被相続人の債務ではありませんが、例外的に認められているものですから、注意が必要です。
自身での判断が難しい場合は、いつでもお気軽にご相談ください。