「生計を一にする」の判断基準 2017.7.19
「生計を一にする」という言葉は税務の上では良く聞かれますが、判断が難しく問題になってしまう事もしばしばあります。 相続税においては、小規模宅地等の特例の対策となる宅地等のなかに、「生計を一にする親族の居住用宅地等」があり、「生計を一にする親族」というのが要件の一つとなっています。 しかしながら、相続税法において「生計を一」の解釈はありません。その為、所得税での取扱いを参酌することになりますが、いったいどのような状況の事をさすのでしょうか? 所得税基本通達によると、以下のように記述されています。 “「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。 例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。 なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。” つまり、同居していない場合でも生活費等を常に扶助している場合には「生計を一にする」と認められます。 反対に同居していても、経済的にそれぞれが独立して日常生活の資金を出している場合は認めらない事になります。 同居の場合は、よほどの事が無い限り、生計を一にしていると認められますが、別居の場合は判断に注意が必要です。 居住費や生活費等のお金の流れが明確であるか。水道光熱費等の引落口座が同じであるか等、様々な側面から個々に判断することとなります。 将来、小規模宅地等の特例を受けられるか受けられないかで、相続税の計算上かなりの差が生じてしまいます。 自分が「生計を一にする親族」に該当するのかどうか悩んだ場合は、安易に自分で判断せず、専門家に相談することをお勧めします。