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「相続の開始があったことを知った日」とは? 2017.8.21

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相続が発生すると、お通夜、葬儀、遺品の整理など、遺族にとっては気持ちの整理のつかないうちに様々な手続きに追われることになります。
明確な期限が決められていないものもありますが、なかには「相続の開始の日」からいつまでに、「相続の開始があったことを知った日」からいつまでに、というように期限が設けられているものもあります。
その期限を過ぎてしまうと不利益を被ることになるおそれもあります。

例えば、相続放棄の手続きは「自己のために相続の開始があったことを知った日」から3ヶ月以内という規定があります。
相続税の申告と納税は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。
では「相続の開始があったことを知った日」というのは、具体的にいつのことを言うのでしょうか。


民法882条によれば,「相続は、死亡によって開始する」ことになっていますので、人が死亡すると同時に相続が開始します。
戸籍に記載される死亡日という事になりますが、戸籍には死亡の届け出を出した日も記載されていますので、間違えないように気をつけましょう。
一般的には相続人である配偶者や子供などの親族が死亡届を提出する事になるので、「被相続人の死亡日」=「相続の開始があったことを知った日」となる事がほとんどです。
しかし、必ずしもそうなる訳ではありません。


「被相続人の死亡日」=「相続開始があったことを知った日」とならない場合

・失踪の宣告を受けて死亡したとみなされた者の相続人
失踪宣告に関する審判の確定のあったことを知った日となります。

・母親のお腹の中にいる胎児
まだ母親のお腹の中にいる胎児でも、相続については既に生まれたものとみなすという民法886条の規定があるため、相続人としての資格を有します。
この場合、法定代理人がその胎児の生まれたことを知った日となります。

・相続が開始された事を知る事の出来る弁識能力のない幼児等
法定代理人がその相続の開始があったことを知った日(相続開始の時に法定代理人がないときは、後見人の選任がされた日)となります。

・遺贈により財産を取得した者
自己のためにその遺贈のあったことを知った日となります。

・認知をされて相続人となった場合
認知の訴えによる裁判により相続人となった場合、裁判の確定を知った日


他にも、「被相続人の死亡日」=「相続の開始があったことを知った日」とならないケースはいくつかあります。
相続人が複数いる場合、それぞれの相続人で「相続の開始があったことを知った日」が違うことにもなり得ます。

自らが相続人だという事をただ単に知らなかった。旅行に行っていた為、知るのが遅くなった、というだけでは相続の開始を遅らせる理由にはなりません。

相続が開始する状況や相続人の方の環境は様々ですが、通常は死亡した日が「相続の開始があったことを知った日」となりますので、期限のある手続の場合は気を付けて進めていきましょう。

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