マイナンバーカードを健康保険証として利用開始 2021.11.17
2016年1月よりマイナンバー制度が始まり、2021年10月1日時点におけるマイナンバーカードの交付率は38.4%となりました。
これまでに、申請数が大きく増えた時期が2回ありました。
1回目は2020年の5月に始まった1人当たり10万円の給付金(特別定額給付金)申請において、マイナンバーカードを利用すれば、申込用紙が郵送されるのを待つよりも早く給付金の申請ができるということで、2020年5月の申請数が前月以前と比べて大きく増えています。
2回目は2020年9月から始まったマイナポイント制度で、カード保有者が対象の交通系ICカードやスマートフォンを使ったQRコードでキャッシュレス決済した場合、利用額の25%(最大5千円相当)のポイントが還元されるという制度でしたが、ポイントをもらえる期限が2021年3月末日までということで、直前の2021年2月・3月は、前月以前と比べて申請数が大きく増えています。
いずれもマイナンバーカードの普及率を高めるための政策と言えますが、マイナンバー制度の有用性を高めるため、2021年10月20日よりマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになりました。
この制度によるメリットとして、
・顔認証付きカードリーダーを利用することで、マイナンバーカードの顔写真データを IC チップから読み取り、受付を自動化できる。
・薬や特定健診の情報が、マイナポータルの一覧で閲覧できるようになる。
・高額療養費制度を利用するためには、今まで限度額適用認定証を申請し、認定書を届くのを待つ必要があったが、顔認証付きカードリーダーを介して、限度額情報を提供することで、限度額を超える支払いが免除される。
といったことが挙げられます。
しかし、医療機関の対応の遅れが指摘されています。
運用開始時点において、カードリーダーなど必要なシステム改修が済んでいるのは全体の9%ほどに留まっています。
また、新型コロナウイルス対策に追われている上、機器に使われる半導体不足も重なり、準備が遅れているようです。
なお、健康保険証として利用するには、マイナンバーカードとカードリーダー機能を備えたデバイス(スマートフォン、PC+ICカードリーダー)を使って、自らが手続をしなければなりません。
デバイスを持っている場合は、「マイナポイントアプリ」又は「マイナポータルAP」をインストールしてから申し込みを行い、デバイスを持っていない場合でも医療機関や薬局の窓口に設置する顔認証付きカードリーダーを使って申込することができます。
マイナンバーカードの有用性をアピールすることで、普及率を上げていく狙いがあると思われますが、マイナンバーカードを保険証として利用できない医療機関では、従来の保険証が必要であり、メリットが伝わりにくいため、システム導入に対して様子見の医療機関も多い(厚生労働省担当者)そうです。
運用開始時点でマイナンバーカードを保険証として利用できるということを知っている人もそれほど多くないと見られ、利用者側の認知度を高めていくことも課題となっています。