上場株式の評価 2018.3.14
今回は相続財産の中に上場株式がある場合の評価方法についてお話します。
上場株式については、今ではインターネットでその時点の価格を容易に把握することが出来ます。
相続の場合、取得した財産の価額は、原則として「その財産の取得の時における時価による」ものと相続税法第22条において規定されています。
相続の場合の取得の時は、相続開始日時点です。
では、上場株式であれば、その株式を所有していた人が亡くなった日の最終価格によるのでしょうか?その価格を把握することは比較的容易です。
相続税の財産評価においては、評価の安全性にも配慮がされています。
例えば、株式の相続開始日の最終価格が10,000円だったとします。
10,000円の価値に対して、結果相続税が課税されるわけですが、相続税を納めるためにその株式を売ろうとしたところ、売却時点での株式の価格は5,000円でした。
このような場合、税金を負担する力は充分であるとは言えません。
相続税の納付の期限は、相続開始から10ヶ月以内ですので、価格の変動リスクがつきまといます。
そういった全ての事情に配慮がなされているわけではないですが、財産評価基本通達において、上場株式の評価は、次のうち最も低い価額により評価するものとされています。
(1)課税時期(被相続人の死亡の日)の最終価格(※)
(2)課税時期の属する月の最終価格の平均額
(3)課税時期の属する月の前月の最終価格の平均額
(4)課税時期の属する月の前々月の最終価格の平均額
(※課税時期に最終価格がない場合や、その株式に権利落などがある場合には一定の修正をすることになっています。)
例えば11月1日に亡くなった人の場合であれば、その人が所有していた上場株式の11月1日の最終価格・11月の月中平均額・10月の月中平均額・9月の月中平均額のうち、最も低い価額を選択します。
現在、金融庁からは上場株式の評価について、時価の90%相当額で評価できるように、と税制改正に対して要望が出されるなどしていることから、今後どうなるか注目しておきたいところです。