令和3年度の税制改正 2021.1.19
2020年12月10日に令和3年度の税制改正が発表され、2020年12月21日閣議決定されました。
今回はその一部を見ていきます。
まず、住宅ローン控除の見直しがされました。
もともと控除期間が10年間だったものが、2019年10月からの消費税の増税対策として2019年10月から2020年12月までの間に居住の用に供した場合は、控除期間を13年間に延長することになっていました。
しかし、今回
・2020年10月1日から2021年9月30日までの間に居住用家屋の新築の契約を締結して取得した家屋がある場合
・2020年12月1日から2021年11月30日までの間に、居住用家屋で建築後使用されたことのないもの若しくは既存住宅の取得した場合又はその者の居住の用に供する家屋の増改築等の契約を締結した家屋がある場合
については、これらの家屋を2021年1月1日から2022年12月31日までの間に居住の用に供した場合は、13年間の延長の特例の適用を受けられるようになりました。
また、延長した部分に限り、合計所得金額が 1,000万円以下の人については、住宅ローン控除の要件の1つである床面積が、50㎡以上から40㎡以上50㎡未満へと緩和されています。
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置にも改正がありました。
2021年4月1日から2021年12月31日までの間に一定の要件を満たした住宅取得等資金の贈与を受けた場合、非課税限度枠が2020年4月1日から2021年3月31日までの間における非課税限度枠より縮小する予定でしたが、これを据え置くこととなりました。
なお対象となる住宅の面積要件については、住宅ローン控除と同様の措置を講じることととなり、この改正は、2021年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用することとなっています。
消費税を見ると、以前より金の密輸による消費税の課税免れが問題視されていて、これを防止するために、金地金等の密輸に対する関税法・消費税法等における罰金上限額の大幅な引上げや本人確認書類の保存などを行いましたが、摘発件数は高止まりしている状況であり、令和3年度改正では、仕入税額控除の要件として保存することとされている消費税法上の本人確認書類のうち、在留カードの写し並びに国内に住所を有しない者の旅券の写し及びその他これらに類する書類をその対象から除外することで、さらなる防止・抑止を狙っています。
この改正は2021年10月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて適用されます。
そのほか、行政手続きにおける押印の廃止が報道されましたが、税務関係書類についても、一部の書類を除き、押印義務を廃止することになりました。
この改正は、2021年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用されることになります。