令和4年の予定納税 2022.3.7
昨年はコロナ禍によってすべての人の生活スタイルが大きく変わった年でした。
中でも飲食店を営む個人事業者にとっては、緊急事態宣言・まん延防止措置などによる休業・時短営業への協力要請で、本来の営業が大きく制限されてきました。
その代償として「時短協力金」を受け取り、ほとんどの個人事業を営む方はその協力金を人件費や家賃の支払いに充てられ、急場を凌いでこられたと思います。
そして年が明けて確定申告、未だ先の見えないコロナに対して未使用の協力金を蓄えていた個人事業者はその蓄えに対し、「令和3年分所得税」「令和4年度住民税」「国民健康保険税」「事業税」などの租税公課を支払うこととなります。
一見、非常に厳しい措置とも思えますが、事業のために要した経費よりも受け取った協力金の方が多いのであれば、納税もやむを得ないことと諦めて対応する以外に道はないようです(受け取った協力金よりも必要経費の方が多額であれば納税の必要はありません)。
ここで特筆すべきは前述の税の支払以外にもう一つ、「令和4年分所得税の予定納税」を支払う必要があるということです。
予定納税というのは、前年の所得税額が一定額(事業・不動産所得に対して算出された所得税額が15万円以上)を超える場合に、7月及び11月に前年分の所得税額の3分の1ずつを支払うという制度です。
つまり、来年3月に納税額が多額で支払えない、という事態にならないように3分の1ずつ前払してください、ということです。
2期合計で前年税額の3分の2を前払しておいて、確定申告時に精算して払い過ぎの場合には還付金を受け取ることになります。
毎年同じような営業所得を計上し、同じような額の所得税を納税する個人事業者ならば、この制度はある意味理にかなっていると言って良いと思います。
しかしながら、令和3年はコロナによる特別な1年であり、令和4年も令和3年と同程度の所得を得ることは難しいと予想できます。
にもかかわらず、昨年の所得税をベースに高額の予定納税を支払う必要はないのではないか、と考える方は多いでしょう。
いくら確定申告時に精算するとはいえ、7月・11月に多額の納税資金を捻出するのは大変なことです。
そんな時には「予定納税の減額申請書」を提出して、予定納税額を減額、場合によっては0円とすることもできます。
予定納税の通知書は6月15日頃郵送されますので、その後7月1日~15日までの間に減額申請書を税務署に提出します。
申請期間が短いうえに、1月~6月までの仮決算を組む必要がある場合もありますので、今の内からお早めに準備されることをお勧めします。
顧問の税理士に確定申告を依頼しておられない事業者の方で、減額申請を検討する必要があると考えられる方は、ぜひ一度弊社にご相談ください。