受け取った生命保険金が相続税の対象に!? 2017.6.12
相続税を計算する際、契約者(保険料負担者)と被保険者が同一人の場合、生命保険の死亡保険金は相続等によって取得されたものとみなされて、相続税の対象になります。これをみなし相続財産といいます。 生命保険金の非課税限度額 相続人等が受け取った生命保険金はみなし相続財産になりますが、遺族の生活を守るために「500万円×法定相続人の数」の金額までは非課税とされています。例えば両親と子供2人の4人家族で、父親が亡くなった場合、法定相続人は配偶者である母親と子2人の3人になります。 そうすると、この場合500万円×法定相続人の数(3人)=1,500万ですので、受け取った生命保険金の内1,500万円までは非課税となります。 この1,500万円は、法定相続人が受け取った額の合計ですので、母親だけが1,500万円を受け取ったとしても、子2人が何も受け取っていなければ1,500万円全額が非課税の対象になります。1,500万円を超える金額を受け取っていれば、超える分の金額は相続税の課税対象になります。 例えば現金だと、相続開始日の残高がそのまま相続財産となり相続税の課税対象になりますが、生命保険の死亡保険金として受け取ると、非課税分を相続財産から差し引ける為、現金でそのまま受け取るより、課税価格が圧縮でき節税になります。 生命保険金の活用 生命保険の利点は相続税の節税以外にもあります。 生命保険金の受取人を誰にするかは自由に決められるので、自分の渡したい人に財産を譲る事が出来ます。 特定の人を受取人にする生命保険については遺産分割の対象とはなりませんので、遺留分の減殺請求を受ける心配もありません。 他にも、葬儀費用や相続税の支払などに生命保険を活用することで、資金を確保することが出来ます。 相続税の支払いは原則、相続発生から10ヶ月以内に現金一括で支払わなくてはなりません。預貯金があっても、相続が発生すると銀行の預貯金などは相続人全員の同意が無ければ引き出せませんし、口座が凍結してしまう事もあります。 生命保険なら手続きをすれば、比較的早期に支払われますので銀行の解約手続きが終わっていない場合でも、支払われた生命保険から納税することが出来ます。 このように残された相続人の方が困らないために、生命保険の非課税の活用を考えてみてはいかがでしょうか。 「自分は高齢だから、今から入れる保険はないのでは」と言われる方も多いですが、非課税制度の活用を目的とする保険であれば、支払う保険料に対して受け取れる保険金が大きく上回る事はないかわりに、比較的入りやすいものもあります。 どの保険に加入するのが効果的かは相続人の数や、相続財産、収入等によって違います。 現在加入している保険を見直す必要もあるかもしれませんので、相続の専門家に一度相談されることをお勧めします。