受遺者が先に死亡した場合の遺言は…. 2022.2.7
民法第994条によると 「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない」とあります。
つまり遺言者よりも先に受遺者が死亡してしまった場合には、無効になってしまいます。
この無効の意味ですが 遺言全体が無効になるわけでなく、当該死亡した受遺者に与えるはずだった部分についてのみ無効となります。
よって、複数人に対して遺贈する遺言の場合には、先に死亡した受遺者の部分のみ無効となり、それ以外の部分については有効のままです。
では、受遺者が先に死亡して無効になってしまった部分はどうなるのでしょう?
この部分は法定相続に戻ってしまいます。
法定相続にもどるため、死亡した受遺者の相続人が相続するわけではありませんのでまちがえないようにしなくてはいけません。
人の死はいつ起こるかわかりません。
受遺者が遺言者よりも先に死亡した場合に備えて遺言の中に予備的条項を盛り込んでおくことが可能です。
例えば 「万が一長男〇〇が遺言者よりも先に、もしくは同時に死亡した場合については、当該財産を孫△△へ相続させる」というように二次的な承継先を決めておくものが予備的条項です。
これによって、もし受遺者が死亡したとしても法定相続に戻ることなく、二次的承継者が相続することができます。
遺言執行者にしてもしかりです。
先日も当事務所で取り扱った案件でこれがありました。明記していた遺言執行者が遺言者よりも先に死亡していたため再度、遺言執行者の選任をしなくてはならず、家庭裁判所で手続きをしましたが時間も手間もかかるものです。
このようなことを避けるために財産の継承先とあわせて遺言執行者についても予備的条項を盛り込んでおくといいかと思います。
当事務所では、このあたりのことも考えながら遺言書作成のお手伝いができます。
どうぞお気軽にご相談ください。