古い申告書、棄ててもいいですか? 2017.10.30
申告が終わったら、もうほとんど見ることのない税務申告書、いつまで置いておけば良いのでしょう? 税務申告書の保存期間は、税法では7年間(法人税の赤字の申告書は9年)、会社法で税務申告書は10年とされています。ということは、税務申告書は10年保存しておけば良いということですね。では、10年を過ぎた申告書はすぐに処分してしまって良いでしょうか。 確かに、法律だけを考えると税務申告書は10年を過ぎれば棄てて良いことになります。しかし、だからといってすぐに捨ててしまうのは危険です。10年以上前の申告そのものに調査が入ることはありませんが、別の申告や調査等で役に立つかもしれません。 例えば、誰かが亡くなり相続税の申告をする場合に、亡くなった人の両親の相続税申告書を調べると、誰がどの財産を受け取ったかが書いてありますから、財産の調査はとても楽になります。相続税申告書の添付資料に不動産等の詳細が載っていれば、評価の参考となり評価額を下げる手助けになることもあります。 また相続税の調査でよくありますが、専業主婦の預貯金が多いと誰かからの贈与ではないかと疑われてしまうことがあります。申告済みの贈与であれば贈与税の申告書で、相続で引き継いだ財産なのであれば相続税の申告書で、法人から受け取っていた役員給与が貯まったものであれば法人税申告書で証明することができます。 申告書の他、不動産の売買契約書等は古くなっても必ず保管しておきましょう。将来不動産を売却する際に取得費が解らなければ、経費として引ける額が少なくなるので譲渡所得税が高額になってしまいます。 書類の処分は期間で判断せず、内容を確認して行いましょう。また、相続のご相談の際には、保管していた申告書等があれば是非お知らせください。節税のヒントが隠れているかもしれません。