国が高額療養費制度の見直しを検討 2022.10.24
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額(※1)が、ひと月(月初から月末まで)において上限額(※2)を超えた場合に、その超えた金額が支給する制度です。
※1 この金額には保険適用外の治療代、入院中の食事代や差額ベッド代などは含まれません。
※2 上限額は年齢や年収によって異なります。
この制度のおかげで、思ったよりも入院費・手術費が少なくて助かったという方もいらっしゃると思います。
ところで、令和4年7月に財務省が「令和4年度 予算執行調査の調査結果の概要」という調査結果を公表しました。
この調査は各省庁の事業の無駄を調べるためのもので、34件の予算執行調査の結果を発表し、必要性、有効性、効率性の観点から調査を実施し、今後の改善点、検討の方向性を指摘するものでしたが、このなかの1つに高額療養費制度の見直しが挙げられています。
なお、今回高額療養費制度の見直しを検討されているのは、主に自営業者が加入している「国民健康保険」に関する高額療養費であり、そのほかの保険(全国健康保険、共済組合、船員保険など)に関する高額療養費制度は見直しの対象となっていません。
現在、1件80万円超(この金額は医療費全体の金額を指し、例えば医療費100万円で窓口負担が3割である被保険者の支払額は30万円となります)の高額な医療費の場合、国民健康保険では、国と都道府県が上限を超えた金額の4分の1ずつ負担することになっています。
今回の調査では、高額医療費負担対象額が年々増加し、平成18年度と比べ令和3年度は2倍に近い数字となっていることがわかりました。
調査結果を踏まえての今後の改善点・検討の方向性として「高額医療費負担金が果たす機能は現時点においても極めて限定的であり、いずれその役割を終えることは明らかである。国保運営の予見可能性を高めるためにも、廃止に向けた道筋を工程化すべきである」と記載されています。
ちなみに、国が高額療養費の負担をすべきではないと言っていて、高額療養費制度そのものを廃止しようとは言っていません。
仮に、国が高額療養費の負担をしないことになった場合、どういったことが考えられるでしょう。
そうなると、都道府県だけで高額療養費を負担することが難しくなるため、住民税などの地方税を増額することで、負担増加分をまかなおうとする都道府県が出てくることが考えられます。
もしくは、高額療養費の上限額を上げることで、都道府県の高額療養費の負担額を少なくしようとすることも考えられます。
今後どうなるかはわかりませんが、年々医療費が増加傾向にあることを考えると、何らかの高額療養費に関する改定があっても不思議ではなく、改定により様々な影響が予想されるので、動向に注目していきたいところです。