土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価 2019.9.30
昨年、平成30年末に「土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価」という通達が新たに制定されました。
土砂災害特別警戒区域とは、急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域で一定のものとして、都道府県知事が指定するものです。
土砂災害特別警戒区域内にある宅地については、建築物の構造規制が課せられ、宅地としての通常の用途に供するとした場合に利用の制限があると認められることから、土砂災害特別警戒区域内に存しない宅地の価額に比して、一定の減価が生ずるものとして、今回この通達が制定されました。
近年、土砂災害特別警戒区域の指定件数が増加しており、今後も更なる指定件数の増加が想定されます。
この評価方法の適用対象となる宅地は、課税時期において、土砂災害特別警戒区域内にある宅地です。
なので、以前は土砂災害特別警戒区域内にあったが、土砂災害の防止に関する工事の実施等により、土砂災害特別警戒区域の指定が解除されたものである場合には適用対象とはなりません。
また、土砂災害警戒区域というものもあります。イメージでいうと土砂災害警戒区域は黄信号、土砂災害特別警戒区域は赤信号といった感じです。
土砂災害警戒区域内にある宅地については、背後にがけ地が控えている、谷・渓流の近くにあるなど、区域指定以前からその危険性の存在が認識されている場合が多く、また、土砂災害発生の危険性は土砂災害警戒区域内外にわたり比較的広範囲に及んでいることから、土地価格の水準に既に織り込まれていると考えられるとして、「土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価」の適用対象とはされていません。
具体的な評価方法は、評価の対象となる宅地の通常の評価額に、その宅地のうちに土砂災害特別警戒区域内となる部分の地積の割合に応じて定められた「特別警戒区域補正率」を乗じることにより評価します。地積の割合に応じて0.90~0.70の補正率が定められています。
また、土砂災害特別警戒区域内にある宅地にはがけ地を含む場合もあると考えられますが、この場合は特別警戒区域補正率にがけ地補正率を乗じて得た数値が特別警戒区域補正率とされ、最小値は0.50となります。
この通達の適用時期は平成31年1月1日以後に相続等により取得した財産の評価に適用されます。
土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域については、自治体がハザードマップなどにより周知を行なっていますのでそちらでご覧いただけます。