婚姻している未成年者の「未成年者控除」 2018.10.10
相続税法上、20歳未満である未成年者が相続人となった場合、未成年者控除という規定が設けられています。未成年者が成人するまでにかかる養育費や教育費の負担に配慮して、年齢に応じてその未成年者の相続税額から一定の額を差し引くことができます。 ここで言う未成年者とは、20歳未満である者を指しますが、民法では20歳未満の未成年者でも婚姻することで成年者とみなされます。 では、相続税を計算する上で婚姻した20歳未満の人が相続人の場合には、未成年者控除はどうなるのでしょうか。 民法上は、満20歳で成年者と定められています。もちろん世間一般的にも、そのように認識されています。しかし、民法753条では「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。」とされています。 結婚することのできる年齢は男性が18歳、女性が16歳ですので、20歳未満の未成年でも民法上は成年者とみなされる(成年擬制)ということになります。 民法上の未成年者の扱いでいくと、相続税の未成年者控除については、すでに結婚している20歳未満の未成年者については適用されないとも考えられます。 しかし、相続税基本通達19の3-2に次のように規定されています。 19の3-2 法第19条の3第1項の未成年者控除の規定は、民法第753条((婚姻による成年擬制))の規定により成年に達したものとみなされた者についても適用があるのであるから留意する。(平17課資2-4改正) つまり20歳未満であれば、婚姻してるしていないに関わらず相続税の未成年控除を受けられるという事です。 今年の6月に改正民法が国会で成立し、2022年4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられる事になりました。とはいえ、相続税の未成年者控除については、「成人」ではなく「20歳」という年齢で規定されている為、民法上の成人年齢が引き下げられても影響はない事になります。 しかし今後の税制改正で、税法上も成人年齢を18歳に引き下げるかどうか具体的に検討されるようです。そうなると控除できる額が減少し納税者にとっては不利になることになりますので、今後どうなるのか注目していきたいところです。