孫養子をするまえに 2021.12.20
相続税対策の一つの手段として孫を養子縁組するということが行われてきました。
しかし、これにはメリットもありますが、デメリットもあります。
今回は孫養子のメリット、デメリットを挙げてみます。
メリット
①相続税の節税になります。
相続税の計算は相続人の人数が多ければ多いほど相続税が低くなる計算方法となっており、養子も相続人としてカウントされます。
具体的には相続税の基礎控除額、生命保険金の非課税限度額、死亡対象金の非課税限度額が有利となり結果として相続税総額が減額されます。
しかし無制限に養子縁組を認めてしまうと、意図的に相続税を低くするように操作することが可能となってしまうので相続税の計算の際に使用できる相続人の人数のカウントは次のように制限が設けられています。
*被相続人に実の子供がいる場合は相続税の計算に考慮できる養子は1人まで
*被相続人に実の子供がいない場合は相続税の計算に考慮できる養子は2人まで
②相続税を一代飛ばし、相続税の負担を軽減できます。
孫を養子にして財産を相続させた場合、本来であれば自分の子供にいったん相続して子供が亡くなった時に孫に相続するという過程を飛ばして孫にいきなり財産を相続することができます。
これにより相続を一代飛ばして行うことができる、つまり子と孫で二度相続税を払う分を一度で済ませることができるため相続税が有利になることがあります。
③孫に遺産を残すことができます。
法定相続人には順位が決められており、被相続人の子供(孫の親)が存命の場合には孫は法定相続人になりません。
孫を養子にしていれば自分の子供と同様に孫にも遺産を残すことができます。
デメリット
①子を迎えることにより法定相続人が増え遺産分割が複雑となります。
養子のほかに実子がいる場合には養子がいることによって実子の相続分が減少することをよく理解しておく必要があります。
②養子縁組により、親権は実親から養親に異動します。
その養親双方が死亡しても、ただちに養子縁組の効果は解消しませんから実親に親権は回復しません。
したがって、親権者が不在になります。
この場合の解決法は2つ
*未成年後見開始を家庭裁判所に申し立てをする。
*養子縁組の解消(死後離縁)をする。
③相続税が2割加算されることがあります。
配偶者、1親等の血族以外の人が相続人となる場合には相続税の2割が加算されます。
本来養子は実子と同じ扱いとなるため2割加算の対象とはなりません。
但しこの孫の実親が生存している場合は意図的な相続税回避行為であるとみなされ特別に2割加算されますので注意が必要です。
事前にこれらをしっかり理解し、孫養子は慎重に行う必要があります。
当事務所ではお客様の状況を把握の上、最善な対策をご提案させて頂きます。
どうぞお気軽にご相談ください。