平成31年度 民法改正に伴う税務上の取り扱い 2019.6.10
民法の改正に伴い、税務上の取扱いについても所要の措置が講じられています。
民法における成年年齢引下げに伴う年齢要件の見直し
成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴って、「20歳以上」又は「20歳未満」と適用年齢の要件が定められている制度についても見直されることとなります。
①年齢要件が18歳未満に引き下げられる制度
イ 相続税の未成年者控除の対象となる相続人
ロ ジュニアNISA … 未成年者口座の開設等をすることができる居住者等
②年齢要件が18歳以上に引き下げられる制度
イ 相続時精算課税制度の適用対象となる受贈者
ロ 直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例
ハ 非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度
ニ NISA … 非課税口座を開設することができる居住者等
【適用時期】
①イ、②イロハについては、令和4年4月1日以後に相続・遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用されます。
①ロ、②ニについては令和5年1月1日以後に設けられる未成年者口座及び非課税口座について適用されます。
配偶者居住権に関する税務上の取扱い
配偶者居住権とは、被相続人の配偶者がその被相続人の相続開始時に、被相続人所有の建物に居住していた場合に、配偶者が遺産分割などで配偶者居住権を取得することにより、終身又は一定期間、その建物に無償で居住することが出来るという権利です。
税制改正大綱でこの配偶者居住権についての相続税における評価方法など税務上の取扱いが定められています。なお、適用時期は大綱に明記されていませんが、配偶者居住権に関する民法の規定の施行日である令和2年4月1日以後に開始する相続から適用されるものと思われます。
特別寄与料に関する税務上の取扱い
民法の改正で特別の寄与の制度が創設され、相続人以外の被相続人の親族(「特別寄与者」といいます。)が無償で被相続人の療養看護等を行った場合には、相続人に対して金銭の請求をすることができるようになります。
大綱では特別寄与料に対する相続税の課税上の取扱いが定められています。
①特別寄与者
支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合に、特別寄与料相当額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして相続税が課税されます。
②特別寄与料を支払う相続人
支払うべき特別寄与料の額を各相続人の課税価格から控除されます。
③特別寄与料の額が確定したことにより、新たに相続税の納税義務が生じた者は、その事由が生じたことを知った日から10月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません。