役員報酬を事業年度の途中で増額・減額する場合 2019.6.24
役員報酬は会社設立時もしくは事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3ヶ月以内であれば変更することが可能です。
事業年度が開始してから4ヶ月以上経ってから、特定の理由なく役員報酬を変更した場合には、変更前の金額と変更後の金額との差額分は損金算入が認められません。
ですが、事業を営む上で、年度中にやむをえない事情により役員報酬を増額・減額をした場合は支給した金額の全額が損金に算入できます。
変更が認められる場合を解説します。
「事業年度の途中で増額する際」
理由:実質的な業務(責任)の内容が変わり役職の格が上がった 等
このような場合は、報酬を増額しても、増額した分は損金にすることができます。
注意点:役員報酬額の増額は節税するために利益操作を行なっていると見なされます。
報酬額を変えたいから名義だけ変える、というやり方は不正と見なされることもありますので要注意です。
それと、期中での役員報酬の増額そのものが全く出来ないというわけではありません。
ただし、やむを得ない事情によらない場合(例えば期中に予想以上の利益が見込まれたので増額した場合)の増額だと、増額した部分は損金として認められず、かつ、受け取った役員は受取額全額に対して所得税等が課せられるので増額しない方がよいでしょう。
「事業年度の途中で減額する際」
理由:
・著しい業績悪化
・第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない状況
・実質的な業務(責任)の内容が変わり役職の格が下がった場合 等
国税庁が定めている業績悪化改定事由に該当する内容が生じた際は、減額が可能です。
どちらにしても、臨時株主総会を開き、議事録に役員報酬の変更の決定を記録として残します。
基本的に役員報酬の変更は事業年度開始から3ヶ月以内に行うべきで、それ以降は本当に必要な理由以外では変更自体を避けたほうが良いでしょう。適切なタイミングで報酬額を変更するよう準備し、極力計画的に役員報酬額を変更されることをおすすめします。