徴収高計算書 2020.6.29
申告所得税や法人税の納付書とは異なり、源泉所得税の納付書は「徴収高計算書」と呼ばれ、源泉所得税の申告書を兼ねるものとなるため、納税額がない場合(通称「ゼロ納付」)でも、「徴収高計算書」の提出が必要となります。
電子申告及びダイレクト納付による手続きであれば特に問題はないのですが紙媒体による提出・納付を行っている場合、この「徴収高計算書」を書損・紛失等してしまうと、税務署に対し管轄署名及び整理番号を伝えた上で「徴収高計算書」を再発行してもらわなければなりません。
税務署からはごく限られた例外を除き、管轄税務署名・整理番号等を予め印刷したプレプリントタイプの「徴収高計算書」が発行されます。
この時期、特に会計事務所ではたくさんの顧客の「徴収高計算書」が必要となり、「まとめて白紙でもらえばこっちで記入するのに・・・」と思った方も多いのではないでしょうか。
例外は後に述べるとして、なぜ白紙の「徴収高計算書」は発行してもらえないのでしょうか。
「徴収高計算書」は多くの場合、金融機関に持ち込まれて納付手続きがなされます。ほとんどの計算書は四隅に黒い四角のマークが三か所印刷されているタイプで、銀行等はこれをOCR処理した上で、数字だけを国税庁にデータ連絡します。その際、計算書の左下部分にある納税義務者の住所氏名はデータとして連絡されません。
つまり、万一「徴収高計算書」の税務署番号等に記載誤りがあり、本来の納税義務者とは異なる者の納税データとなってしまった場合、これを見つけることは非常に困難なことなのです。
データ連絡のキーとなるのは計算書中央の最上部にある「税務署番号」とその右の「整理番号」であり、しかも、「税務署番号」は一般的に用いられている「上2桁が国税局、中1桁が都道府県、下2桁が県内税務署の一連番号」からなる税務署番号とは異なる番号が使用されているので、非常に間違いやすくなっています。
こうしたことから、税務署では「税務署番号」「整理番号」「住所(本店所在地)」及び「氏名(法人名)」がプレプリントされた「徴収高計算書」を発行することとしているのです。
ただし、「給与支払事務所の開設届」や「納税地の異動届」の提出直後で、当該納税義務者に源泉所得税の口座が紐づけされていない状態で、なおかつ納期限が迫っている場合等には、特例的に白紙の「徴収高計算書」が発行されることがあります。
ここでもらった「徴収高計算書」は3枚複写の3枚とも、下部にマジック等で赤いラインが引いてあると思います。
この赤ラインを引くことで、金融機関は持ち込まれた計算書のイメージ処理を行い、左下に記載された納税義務者の管轄税務署へとデータが届くこととなるのです。
まあ、知っていて何の得になるわけでもありませんが・・・。
ということで、間もなく納期特例のシーズンとなりますが、「徴収高計算書」は早めに用意しておきましょう。