成年(成人)年齢引き下げによる相続税・贈与税への影響について 2022.4.11
2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。この成年年齢の引き下げは相続税や贈与税にも影響します。
どういった点に影響があるのか説明させてもらいます。
1.相続税への影響
成年年齢引き下げで、「未成年者控除」が影響を受けます。
相続人が未成年者だと一定額を相続税額から控除できるのですが、この未成年者は3月31日まで「20歳未満」という意味でした。
これが4月1日以降、「18歳未満」に変わります。
3/31まで:「相続や遺贈で財産を取得したときに20歳未満
⇓
4/1から:「相続や遺贈で財産を取得したときに18歳未満
未成年者控除の計算は次のようになります。
3/31まで:10万×(20歳-相続した時の年齢)
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4/1から:10万×(18歳-相続した時の年齢)
※相続したときの年齢は満年齢にする
例)10歳6か月→10歳
2.贈与税への影響
贈与税は相続税以上に、成年年齢引き下げの影響を受けます。
(1)暦年課税制度の特例贈与
暦年課税制度には親や祖父母から子や孫への贈与(特例贈与)に使う税率、もう1つはそれ以外の贈与(一般贈与)に使う税率と2つの税率があります。
特例贈与は一般贈与よりも贈与税が抑えられています。
特例贈与の税率の条件は、「親や祖父母から子や孫へ贈与する」だけではありません。
受贈者である子や孫の年齢に「20歳以上」という条件が付されています。
これが4月1日以降、「18歳以上」になります。
3/31まで:「贈与された年の1月1日時点で20歳以上」
⇓
4/1から:「贈与された年の1月1日時点で18歳以上」
(2)贈与税の非課税措置
贈与税には、親や祖父母が子や孫にまとまった資金を贈与しても一定額まで非課税になる制度があります。
その内、次の2つは受贈者の年齢に「20歳以上」という条件を設けています。
・住宅取得等資金の贈与税の非課税措置
・結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置
この年齢条件が、4月1日から「18歳以上」になります。ただし「18歳以上」をカウントするタイミングが異なるので注意が必要です。
・住宅取得等資金贈与税の非課税措置
・結婚、子育て資金の贈与税の非課税措置
(3)相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、親や祖父母から子や孫に贈与したときにのみ使える制度です。
こちらも受贈者である子や孫の年齢は「20歳以上」でなくてはなりません。この条件が4月1日以降、「18歳以上」になります。
なお、この制度は贈与者である親や祖父母にも「贈与した年の1月1日時点で60歳以上」という条件がついています。
活用の際、贈与者と受贈者両方の年齢に注意しなくてはなりません。