新型コロナウイルスに関して支給された給付金等の取り扱い 2020.8.11
2020年は新型コロナウイルスに関する給付金・助成金を申請する方が多いかと思われます。これらの入金に関しては課税の有無・益金計上時期がそれぞれ異なりますので、注意してください。
まずは課税の有無からお話ししていきます。
ちなみに、新型コロナウイルスに関連して給付されるもの以外で非課税となるものとして
・雇用保険の失業等給付
・児童(扶養)手当
などがあります。
そして、新型コロナウイルスに関連して給付されるもので非課税となるものとして
・特別定額給付金
・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
があります。
前者は、住民基本台帳に記録されている者に対し1人当たり10万円を支給するものであり、多くの方が2020年7月時点で受け取られたかと思われます。
後者は2020年7月10日より郵送による申請の受付を開始された制度であり、新型コロナウイルス感染症の影響により休業させられた中小企業の労働者のうち、休業手当の支払いを受けることができなかった労働者に対し、一定の算式に基づき支給されるものです。
多くの給付金・助成金は、事業主が申請をするものに対し、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金は、基本的には労働者が申請をするものになっています。
詳しい要件等については、厚生労働省のホームページでご確認ください。
そして、ニュースでもよく取り上げられた持続化給付金や雇用調整助成金・家賃給付支援金は課税対象(収入として取り扱い)となっています。
これらの給付金について、個人事業主が受け取った場合は、事業に付随した収入となるため、事業所得の収入として取り扱われます。一時所得や雑所得にはならないので、この点は注意してください。
次に、益金計上時期についてお話ししていきます。
持続化給付金については、給付が確定した地点で益金計上することになっています。具体的には確定通知を受けたときとされています。
交付(入金)された時点ではありません。
そのため、決算月において申請し、翌月(翌期)になってから確定通知・交付を受けた場合は、翌期に益金計上することになります。
また、決算月(当期)において申請し、同月に確定通知を受けて、翌月になってから交付を受けた場合は、当期に益金計上することになるので、この場合は注意が必要となります。
とはいうもの、持続化給付金の振込のお知らせのハガキには、確定通知日や交付日の記載がされていないこと、はがきが届く前に入金を確認できたというケースもあるため、持続化給付金に関しては、入金があったときに収益計上することで良いかと思います。
持続化給付金と違って、雇用調整助成金は取り扱いが異なります。
法人税基本通達2-1-42において、経費を補填するために交付を受ける給付金等については、その給付の原因となる事実があった日の属する事業年度において益金計上することとなっています。
そして、交付を受ける給付金等の金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積もって益金計上することになっています。
雇用調整助成金は休業手当(=経費)を補填することを目的として交付される助成金となっているため、確定通知を受けた時でなく、助成金の交付を受ける原因となった休業手当を支給した時に益金計上となります。
例えば、4月に休業していて、4月分の休業手当を支給した後、5月に雇用調整助成金の申請をした場合、休業手当を支給した4月に雇用調整助成金の益金計上をすることになります。
助成金はさまざまなものがあり、名称だけで判断してはいけません。申請する助成金の内容を確認したうえで益金計上時期を判断するよう、気を付けてください。
2020年7月に入り、各地で新型コロナウイルス感染者数の増加傾向が見られ、経済活動が停滞する恐れがあります。これに対して新たな給付金・助成金制度が創設されるかもしれません。
これらの制度を利用するときは、どうしても申請することに意識が取られてしまい、入金があれば一安心してしまい、税務上の取り扱いの確認を忘れがちになります。
そして税務申告をしたとき、税務上の取り扱いが思っていたものと違って慌ててしまうこともあり得ますので、確認を怠ることがないよう、気を付けてください。