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未支給年金に係る相続税の課税関係 2020.8.3

未支給年金に係る相続税の課税関係

国民年金の給付の受給権者が死亡した場合、その死亡した者に支給すべき年金が支給されていない場合、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものが「自己の名」で、その未支給年金を請求することが出来ることとされています(国民年金法19①)。

未支給年金は本来、被相続人が受け取るべきものであったことから、これを未収賃料や未収給与と同様にとらえ、相続財産(未収入金)として相続税の課税対象になると考える向きもありました。

しかし現在では未支給年金請求権の相続財産性を否定した最高裁判決(平成7年11月7日)等を踏まえ、未支給年金は相続財産には該当せず、また遺産分割の対象にもならないとされています。

未支給年金について最高裁判決では、国民年金法第19条に規定する「未支給年金を請求することのできる者の範囲及び順位」の定め方が「民法に規定する相続人の範囲及び順位」とは異なっていることを根拠に、民法上の相続とは別に、遺族の生活保障を目的として一定の遺族に対して未支給の年金の支給を認めたものと解すべき、としています。

以上のことから、未支給年金請求権については、死亡した受給権者に係る遺族が、当該未支給年金を「遺族固有の権利」として請求するものであり、死亡した受給権者に係る相続税の課税対象とはなりません。

尚、遺族が受け取った未支給年金は、所得税基本通達34-2の規定により、その遺族の一時所得に該当することとなります。

34-2(遺族が受ける給与等、公的年金等及び退職手当等)
死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等で、その死亡後の支給期の到来するもののうち9-17により課税しないものとされるもの以外のものに係る所得は、その支払を受ける遺族の一時所得に該当するものとする。

国民年金や厚生年金といった公的年金は「後払い」のため、年金受給者が亡くなると必ず未支給の年金が発生します。相続財産になるのか否か、迷いやすく、そして間違いやすい点になりますので注意が必要です。

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