株式の取得費の調べ方 2019.4.1
株式を売却したときの譲渡所得は「売却価額-取得費」で計算されます。
証券会社を通じて株式の売買を行っていて、特定口座を開設されている方ならば、毎年1月に、証券会社から「年間取引報告書」が届き、売却価額や取得費などの情報が記載されていて、かつ源泉徴収あり(証券会社に譲渡益が出たときの税金を計算してもらい、自分の代わりに証券会社が納税してもらうよう依頼しておくこと)を選択していると、確定申告が不要となります。
また、自分で納税する「源泉徴収無し」を選択している場合でも、年間取引報告書を参考に売却価額・取得費を確認して税金計算をすることができます。
しかし、証券会社を通じて株式の売買を行っていても、一般口座を利用されている場合や、一般株式(上場株式等を除く非上場株式や私募株式投資信託の受益権などの株式等のことをいいます)の売買については、年間取引報告書が発行されないため、自分で売却価額や取得費を算定する必要が出てきます。
売却価額は、1年間に行った取引を確認することで算定することができますが、取得費は、株式を取得した当初の金額を確認する必要があるため、売却価額を確認するよりも難しい場合があります。
年間取引報告書が無い場合でも、上場株式等の取得価額を確認する方法はいくつかあります。
まず、取引の都度、証券会社が発行する取引報告書や取引残高報告書などの書類から取得費を確認することができます。
また、過去10年以内に証券会社を通じて購入したものであれば、証券会社の顧客勘定元帳から取得費を確認できます。証券会社の顧客勘定元帳の保存義務は10年ですが、過去10年以前の情報を、証券会社が任意に保存していることもあり得るので、10年より前の取引であっても、利用した証券会社がわかれば、とりあえず電話を試みた方がいいかもしれません。
上記のいずれの方法をもっても確認できない場合は、日記帳・預金通帳などの控えに金額が記載されているならば、その金額を取得費とすることもできます。また、金額が不明でも、取得時期のみが確認できる場合は、取得時期を基に取得費を算定しても差し支えありません。
上記3つの方法を試みても確認できない場合は、上場株式等の名義書換時期を調べてその時期の相場により取得費を算定することもできます。名義書換時期を調べる相手先は、上場株式等の発行会社であり、発行会社が保管している株式名簿や株式異動証明書などから名義書換時期を調べることになります。
なお、相続や遺贈、贈与により上場株式等を取得した場合は、被相続人や贈与者の取得費を引き継ぐことになります。
また、2回以上にわたって取得した同一銘柄の有価証券については、総平均法に準ずる方法(株式等をその種類及び銘柄の異なるごとに区分し、その書類等の同じものについて、その株式等を最初に取得した時(その後既に当該株式等の譲渡をしている場合には、直前の譲渡の時)から当該譲渡の時までの期間を基礎として、1単位当たりの金額を総平均して計算する方法)により計算した金額を取得費とすることになります。
資産の評価方法としては、総平均法のほか移動平均法や先入先出法など、色々な評価方法があるのを御存じの方がいると思いますが、有価証券の譲渡所得に関しては、上記のように「総平均法に準じた方法」により取得費を算定することが決められているので、注意してください。