株式会社と合同会社 2021.6.14
会社の設立=株式会社と考えられる方は多いと思いますが、会社形態として合同会社というものがあります。
合同会社は2006年5月1日に施行された会社法で新たに設けられた会社形態であり、2020年に設立された法人が118,999社あるうち、合同会社が33,236社と約4分の1を占めていて、年々設立割合・設立数は増加しています。
株式会社と合同会社の違いとして、株式会社は経営者(社員)と出資者(株主)が分離しているのに対し、合同会社は経営者と出資者が一体化しています。
経営方針について見ると、株式会社は経営者と出資者が別々のため、客観的な経営ができるという長所がある一方、柔軟な経営ができない短所があります。
合同会社は、株式会社と長所と短所が入れ替わると思っていただいたら良いです。
その他の違いとして、設立費用の違いが挙げられます。
設立費用の中に登録免許税と定款認証手数料がありますが、株式会社だと登録免許税が15万円、定款認証手数料は5万円となります。
これに対して合同会社は、登録免許税は6万円、定款認証手数料は0円(不要)となっていて、合同会社は株式会社より安い費用で設立することができます。
また、株式会社は役員の任期が定められています(定款で定めることにより最長10年)が、合同会社は社員(会社法上では合同会社では「役員」でなく「社員」という肩書になります)の任期は定められていません。
他にも、株式会社は出資割合に対して利益配当の割合が決められていますが、合同会社では利益配当の割合を自由に定めることができます。
これにより、資金が無い人でも、技術やアイデアにより会社の貢献度が高ければ配当を多く受けられるようにすることができます。
株式会社と合同会社の共通点としては、税制が同じということがあります。
株式会社と比べて設立しやすい合同会社でも、会社設立による節税のメリットを株式会社も同じように受けることができます。
これまでの文章を見ると、株式会社より合同会社の方が有利な点が多いと思われるかもしれませんが、合同会社は経営者=出資者であり、定款の変更や社員の加入、社員の地位の譲渡などについては、原則社員全員の同意が必要となるため、一人でも反対意見が出ると、経営に支障をきたすことになります。
また、株式会社に比べて合同会社は認知度が低く、信用度が株式会社に比べて高くはありません。
そして、合同会社は株式会社のように株式の増資による資金調達ができず、大きな資金の調達手段が限られていて上場することができません(合同会社を株式会社に組織変更することは可能です)
このように株式会社と合同会社はどちらがいいと言い切れるものでないので、会社の設立目的や今後の方針を考慮して、企業形態を決めていきましょう。