滞納している家賃にも相続税がかかります 2018.7.25
家賃をなかなか払ってもらえないまま年月が経ち、どうしたらよいものか。
家賃・地代を滞納されてお困りの不動産オーナー様、この問題を抱えたままで相続が発生した場合、その滞納家賃等にも相続税がかかってしまいます。
なぜ、もらえるかどうかもわからない滞納家賃にまで相続税がかかるのでしょうか。
相続税では「課税時期(死亡した日)において既に収入するべき期限が到来しているもので同時期においてまだ収入していない地代・家賃等はその収入すべき法定果実の金額によって評価する(相続財産に計上する)。」(財産評価基本通達208)との取り扱いになっています。
そのため、賃貸契約書の契約内容から家賃を受け取る期限がすぎているのに、まだもらっていない滞納家賃、いや多分もらえないであろう回収不能家賃は相続財産に含まれて相続税がかかります。
この問題、相続が発生する前に何とかする手立てはあるのでしょうか。
滞納家賃の回収が難しくなった場合、貸倒れの処理をする方法があります。
具体的には、債権を放棄します。
不動産オーナー様の思いは複雑で、債権放棄の手続きは断腸の思いとお察しします。
ただし、この問題は放っておいても悪影響ばかりで良いことはひとつもありません。
この債権放棄、相手方の同意は必要ありませんが、法律上の貸倒れとして認められるには、次のような手順を踏むことが重要です。
◎支払い督促を何度も行ったが回収できなかった証拠を残す。
◎税務署に対する貸倒れの認定に備え、債権放棄通知書(債務免除通知書)などの書類を整える。
◎債権放棄を通知した証拠を残すため、上記通知書を「内容証明」または「配達証明」
◎郵便で相手に通知する。(電話や普通郵便による債権放棄の通知は認められません。)
また、借主が行方不明の場合などは、出ていってあと1年以上経過してから形式上の貸倒れで処理する方法もあります。
貸倒れの処理は、相手への贈与とも受け取られる場合があるため、税務署が目を光らせチェックする部分です。
債権の放棄は問題解決の最終手段であり、貸倒れに至る状況もさまざまです。
税務署に貸倒れが認められる条件をクリアするためにも、まずは税理士等の専門家へ相談し、相続が発生する前に問題を解決することが相続税の節税につながります。