生前退位と贈与税 2017.9.20
相続税は相続等により、贈与税は贈与により、無償で財産を取得することを原因として課税されます。どちらも無償で誰かの財産を取得するという点は共通していますが、誰かが死んた後引き継ぐか、生きているうちにもらうかという違いがあります。 贈与税はそういう意味で相続税を補完するための税目ですので、日本には相続税法はあっても、贈与税法という法律はありません。相続税法の中に贈与税のページがあるのです。 昨年、天皇陛下が生前退位のご意向を示されました。 個人的にこのニュースを聞いて最初に思ったことは、「三種の神器に贈与税がかかる」ということでした。 税法上、社会政策的な配慮などから非課税とされるものがあり、「○○には税金を課税しない」という形で、限定されています。例えば、相続税の非課税財産の1番目に掲げられているのが、「皇室経済法の規定により皇位と共に皇嗣が受けた物」いわゆる三種の神器「八咫鏡」「草薙剣」「八尺瓊勾玉」です。 ただ、三種の神器については贈与税では非課税財産としては列挙されていないため、陛下のご意向どおり生前退位が実行されるとすれば現行の税法のままでは、三種の神器について贈与税が課税されることになります。 税法上も当たり前に天皇陛下の生前退位ということを前提としていなかったことが分かりますね。 ※平成29年6月、退位特例法においていわゆる三種の神器には贈与税を課税しない旨、規定されました。