生産緑地について 2020.11.25
2022年問題について
1992年の生産緑地法改正から間もなく30年が経過しようとしています。
法改正当時、市街地農地の宅地並課税を避けるため、三大都市圏で500㎡を超える市街地農地の多くが、生産緑地として指定を受けました。
生産緑地の指定を受けることで、固定資産税は調整区域農地なみに抑えられ、相続税法上でも、生涯の営農を条件に納税猶予を受けることが可能となります。
ただ、当時の生産緑地法では、指定された生産緑地は30年で指定解除され(延長なし)、以降は通常の市街地農地として宅地並の固定資産税が課税されることとなっていました。
そのため、2022年で指定後30年を迎える生産緑地の多くが宅地となって市場に供給され、その結果として住宅市場に悪影響を及ぼす、いわゆる「2022年問題」が以前から叫ばれていました。
その上、納税猶予は生涯営農継続が要件ですから、生産緑地解除後は宅地並課税を受けながら農業経営を継続させなければならないというリスクを負うことにもなります。
政府はこれに対し2017年に生産緑地法を改正し、30年経過前に届出をすれば生産緑地を10年延長できる「特定生産緑地」という制度を導入しました。
この改正によって、生産緑地を継続することができるようになりました(ただし、宅地化も10年間はできませんが)。
更に10年後には再延長も可能なため、納税猶予も問題なく延長できることとなります。
都市部での農業経営継続を考える方にとっては、一安心といったところでしょうか。
農業経営の継承について
しかしながら、現在の農業経営者が生産緑地の解除を選択してしまうと、その後の相続発生時に納税猶予を受けることはできなくなります。
2022年以降、農業経営者の高齢化で営農が困難になり、その推定相続人に営農を続ける意思がないと予想される場合には、いつでも生産緑地の指定を解除して非農地化・売却できるような備えをしておくことも大切になるでしょう。
そのための備え、つまり営農も立派な「事業承継」であることを踏まえ、後継者の準備や、将来的に営農を継続するのか否か、といったことについて家族・一族で議論を重ね、状況に応じて、遺言・生前贈与・生前売買等の選択肢を計画しておくすべきであると考えます。
弊社ではそういったお悩みにも専門家が対応いたしますので、お気軽にご相談いただければと思います。