申告書の提出義務者が死亡した場合 2018.10.24
相続税の申告書の提出期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。もし、相続税の申告義務がある人が、この10ヶ月の間に相続税の申告書を出さずに死亡してしまった場合はどうなるのでしょうか。 申告書の提出義務者が、提出前に死亡した場合は、その提出義務者の相続人(包括受遺者を含みます。)が申告書を提出する義務及び相続税を納付する義務を承継します。 申告書の提出義務・納税義務の承継者となった人は提出期限が延長される、という特則があります。 例えば、その年の1月1日に死亡したAさんがいたとして、Aさんの相続税について、相続人Bさん・Cさんに相続税の申告書の提出義務があるとします。死亡した事を当日に知った場合、申告書の提出期限は同年11月1日となります。 ところがBさんは申告書を提出することのないまま、提出期限の2ヶ月前の9月1日に死亡してしまいました。Bさんの相続人はDさん1人のみです。この場合、本来の提出義務者であったBさんの相続人であるDさんが、Bさんの申告書の提出義務と相続税の納税義務を引き継ぐので、Bさんの代わりに申告書を提出し、納付税額があれば納税もしなければいけません。 しかしDさんが、申告期限をも引き継いで11月1日までに申告書を提出しなければならないとすると、申告期限まで残り2ヶ月しかない事になりますので少し大変です。 そこで、承継者であるDさんの申告期限は、Bさんについて相続の開始があったことを知った日の翌日から10月を経過する日、つまり翌年の7月1日まで延長されることになります。 ここで注意が必要なのは、Aさんに係る申告書の提出期限が延長となるのは、あくまでも亡くなったBさんの提出義務承継者であるDさんのみです。Cさんの申告期限は延長されませんので、Cさんは本来の申告期限である11月1日までに申告書を提出しなければいけません。 この場合、申告書の提出先は本来Bさんが提出すべきだった提出先、つまり被相続人Aさんの最後の住所地を管轄する税務署となります。 また、Bさんの所有していた財産の額が遺産に係る基礎控除額を超える場合にはDさんは7月1日までにAさん分Bさん分の相続税の申告を行う必要があります。