相続のための税理士選び 2017.8.7
お腹が痛いので、病院に行こうと思ったとします。看板には「○○病院」としか書いていません。ちょっと困りませんか? 病院に行くときは、診てほしい内容に合わせてまず何科を受診するかを考えると思います。 では税理士を選ぶときはどうでしょうか。 税理士は税務申告をすることができますが、さて、あなたが知っているその税理士さんはどの税目に特化しているでしょうか。 税理士になることができるのは、①税理士試験に合格した者②税理士試験を免除された者(税務署に規定の年数以上勤務している者)③弁護士④公認会計士のいずれかに該当する者です。 ①の税理士試験は2科目の会計科目と税法科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択)に合格すれば税理士になれます。 つまり相続税法を勉強していなくても、税理士になることができます。そして普段所得税や法人税の申告しかしていない税理士でも相続税の申告をすることはできるのです。 入った病院の先生が「胃の手術をします。耳鼻科が専門なので、やったことはありませんが。」と言ったらどうでしょう。かなり、不安になりますね。 相続税に特化して、たくさん相続税の申告を経験している税理士は、複雑な財産評価の通達や納税者にとって有利な規定を熟知しています。経験の少ない税理士が作成した申告書と比べると税額に何十万円~何百万円の大きな差がつくこともあります。 逆に、経験の少ない税理士が適用要件を満たさない特例を適用し、誤った申告をしてしまうこともあります。これは税務調査で否認されてしまい、余分な加算税を支払うことになりかねません。相続税に特化した税理士は、否認されるリスクを避けて払うべきところは払い、法に適ったやりかたで税額を下げるのです。 税務にもセカンドオピニオンは必要です。相続のときだけ相続専門の税理士事務所を使うのも一つですが、普段の法人会計や所得税の確定申告から相続税対策ができる税理士に相談してみるのも良いのではないでしょうか。