相続放棄と遺産分割協議書での財産放棄 2019.4.15
被相続人の財産を一切引き継ぎたくない場合は相続放棄をする必要があります。
当事務所でも相続放棄についてのご質問はよくあります。
ご相談の中で、遺産分割協議で財産を放棄すれば相続放棄になると思われている方がいらっしゃいますが、遺産分割協議で財産を放棄しただけでは正式な相続放棄とはなりません。
民法の規定によると、相続が開始すると被相続人に帰属していた権利及び義務は被相続人の一身専属である権利を除き、すべて法定相続人に引き継がれます。
預貯金や不動産等のプラスの財産については取得する権利を得ることが出来ますし、借金や負債等のマイナスの財産については引き継ぐ義務を負います。
相続人が複数いる場合に一部の相続人が相続財産を取得したくない場合には遺産分割協議によって財産を放棄することが出来ます。しかしこの場合は相続人の間では遺産分割協議の内容は有効となりますが、債権者に対して借金の返済義務が無くなる訳ではありません。相続人である以上は被相続人の借金返済の義務を法的に負う事になります。
たとえ遺産分割協議で財産を放棄すると決めていたとしても、相続人としての地位を失う訳ではないので、債務の負担義務は無くならず銀行や金融機関等の債権者に対抗する事は出来ません。
相続放棄は相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをします。遺産分割協議には期限がありませんが、正式に相続放棄をしたい場合には期限が決められています。家庭裁判所で相続放棄の申述が認められれば、その人は最初から相続人でなかった扱いとなり、プラスの財産もマイナスの財産も相続しなくて済みます。
相続放棄する内容の遺産分割協議書に実印を押して、相続放棄していると思っていても、実は正式に相続放棄手続がされていないという事はよくあります。相続放棄をする為には家庭裁判所に相続放棄申述書を提出しなければいけません。
自分が相続放棄出来ているか分からない方、相続放棄をするかどうか迷っている、どうすれば良いか分からない等、少しでも不安に思うことがあればお早目に当事務所に一度ご連絡下さい。