相続税の申告書の添付書類の見直し 2018.12.12
これまで税務署に提出する相続税の申告書には、①『「戸籍の謄本」で被相続人の全ての相続人を明らかにするもの』の添付が必要でしたが、改正により添付することのできる書類の範囲が見直され、平成30年4月1日以後に提出する相続税の申告書には上記①のほか、②「図形式の法定相続情報一覧図の写し」、又は①②のいずれかのコピーを添付することが出来るようになりました。 平成29年5月29日から「法定相続証明制度」が開始されました。 相続手続きを行う中でまず最初にやるのが戸籍謄本等を取り寄せて、被相続人の相続人を確定させる作業です。相続手続きに慣れている人はいませんが、これが最初の難関となります。また、1通あたりの発行手数料750円と決して安いとは言えない場合もあります。 法定相続証明制度については当ブログで以前詳しく取り上げていますので、今回は簡単な説明に留めておきますが、要は戸籍謄本等を集めて、一覧図にまとめて、法務局で手続をしてもらえば、登記官の認証を受けた「一覧図の写し」の交付を受けられるものです。 この制度は、相続登記がされないまま所有者不明になっている土地や、空き家の問題をどうにかするために、相続登記を促すために開始されました。 これまで提出した相続税の申告書には、「今、別の手続に戸籍謄本等を使用しているので、完了次第原本を提出します」とひとまずコピーを提出しておいて、後に手続が終われば原本を提出する、というようなことをやっていました。税務署から「戸籍謄本等の原本はまだ提出できませんか?」という問い合わせを受けたこともあります。 「税務署がそこまで原本を要求してくるのはどうしてだろう?」と思っていましたが、法律で申告書に添付することが定められた書類だったからです。 法務局も税務署も国の機関ですが、「法定相続証明制度」で法務局が認めた書類であっても、税務署としては「戸籍謄本等の原本」以外は法に定められた書類ではなかったため、添付書類としては無効だったのが、この改正により1年越しでようやく追いついたというわけです。 なお、相続税の申告書に添付することの出来る法定相続情報一覧図の写し(又はそのコピー)は図形式のものであること、子の続柄の記載について実子又は養子が区別記載されているものなどであることとされていますので、相続税の申告書の添付書類として使用する際はご確認ください。