相続税申告における電話加入権の取り扱い 2021.9.6
携帯電話が普及している現代ではそもそも電話加入権って何?と思われる方も多いと思いますが、電話加入権とは「NTTの固定電話回線を使用するための権利」のことです。
NTTに固定電話の契約を申し込む際に「施設設置負担金」を支払うことで取得する権利なのですが、この負担金額は時代とともに変動しています。
料金の変遷ですが、NTTの前身となる日本電信電話公社の発足後1953年には債権額は60,000円でした。
1960年には10,000円、1968年には30,000円、1971年には50,000円、1976年には80,000円となりました。
1985年になるとNTTが設立され設備料は72,000円に改定、2005年に総務省情報通信審議会での見直しにより現在の36,000円となっています。
最近では固定電話を置かない世帯が増えており、また固定電話を置くにしてもNTTの電話回線を使わない方法もあるため、わざわざお金を払って電話加入権を取得する必要があるのかと思われる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、携帯電話、インターネットが普及する以前からある古いご家庭では、今でも電話加入権を所有しているケースが少なくありません。
そして電話加入権も所得者の方が亡くなれば立派な相続財産となるのです。
令和2年までの相続では、電話加入権は国税庁のホームページで公表されている標準価額によって評価することとされていました。
ちなみに令和2年分は全国一律で1,500円です。
39,600円(税込)で取得しても、評価は1,500円です。
仮に相続財産から漏れたとしても税額に与える影響は数百円ですから、含めなくてもと思えるかもしれませんが、相続税申告の際は相続人に電話加入権の有無を確認し、もしあれば計上することになります。
しかし令和3年1月1日以降、財産評価通達の改正が行われ、電話加入権の評価額については一般動産の評価と同様、売買実例価額や精通者意見価格等を参酌して評価することとなり、相続税の申告にあたっては、一括して評価する家庭用動産等に含めて差し支えないこととされました。
ちなみに家庭用動産等とはわざわざ個別評価する必要のない家財などのことで、一式5万円~30万円程度で計上するのが一般的です。
そして電話加入権を相続する場合は、名義変更の手続きが必要となりますので、お忘れにならないようにして下さい。