真正な登記名義の回復登記とは 2020.12.7
本来の所有者以外の人の名義で登記がされている場合、その人から本来の所有者へ名義を移転させる登記手続きです。
~例~
①子供が不動産を購入したが、勤務年数が少ない等の理由でローンが組めないため、親の名義でローンを組み、登記も親名義にしたが、頭金、その後のローンも子供が払ってきた場合に、そろそろ、本当の所有者の子供に名義を変えたい場合。
②お爺ちゃんが、不動産を買ったが自分は、生い先が短いため、また相続で揉めるのは嫌なので、孫の名義にしたところ、税務署からお爺ちゃん名義の登記に直さないと、孫に多額の贈与税がかかる言われ、しぶしぶお爺ちゃんの名義の登記に直す場合。
③夫と妻が不動産の購入代金の半分ずつ出し合って、夫持分2分の1妻持分2分の1の共有登記をするところ、誤って夫単独の名義にしてしまったため、本当の共有名義に直す場合。
このような場合は、通常、誤った登記を抹消して正しい登記にし直さないといけません。
具体的な登記の手続きは ①の場合は前所有者と親とで間違った所有権移転の登記を抹消して、次に前所有者子供とが真の所有権移転の登記をし直さなければなりません。
②の場合は土地の前所有者と孫が無効の土地の所有権移転の登記を抹消して、次に前所有者とお爺ちゃんが真の所有権移転登記をしなければならいません。
そして建物は孫名義の所有権保存登記を抹消して、新たにお爺ちゃん名義の所有権保存登記をすることになります。
③の場合も前の所有者と夫が、夫単独名義の登記を抹消して、次に前所有者と夫、妻が共有名義の登記をしなければなりません。
しかし、前所有者が自分にとって得にもならない登記のやり直しの手続きに協力してくれるでしょうか、親族間ならともかくまず難しいと思います。
また従前の登記を抹消する場合に、担保がついている場合は担保権者の承諾が必要です、銀行等の金融会社が担保権者の場合はまず承諾は無理でしょう。
この登記でしたら、前の所有者の協力も必要とせず、また担保権者の承諾も要件ではありません。
前の①の例では親から子供へ②の例では孫からお爺ちゃんに③の例では夫から妻に真正な登記名義の回復を登記原因にして所有権移転登記(③の場合は所有権一部移転登記)をすることができます。
ただ、この「真正なる登記名義の回復の登記」は本来なら、従前の登記を抹消して真の登記にやり直さなければならないのを、例外的に認めた登記であるので、やむを得ないと認められる事情があり、かつ、そのような登記をしても関係者の利益を害さないことが明らかにされるときに是認されるべきであります。
不動産登記法改正前は、この真正な登記名義の回復による登記は割と簡単にできましたが、現在では登記原因証明情報(登記原因(真正なる登記名義の回復)となった事実または法律行為とこれにもとづき権利変動が生じたことを証明できる情報)の添付が必要になってからは、要件が厳しくなっているようです。
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