税務署は待ってくれない・・・? 2017.6.19
相続税の申告期限は意外に早くやって来ます。 原則として、相続開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。 それまでに相続財産の分割を行い、税務署に申告書を提出すると同時に納付もしなければなりません。 しかし遺産分割に納得できない相続人が居る場合や、相続人の数が多くてなかなか話がまとまらない等、10ヶ月以内に分割協議がまとまらないことはよくあります。 では、そのような場合どうすればよいのでしょうか。 未分割遺産に対する課税 遺産分割協議が整わない場合でも10ヶ月以内という申告期限は変わることはありません。 申告期限を過ぎるとペナルティーが課されてしまいます。ですので、この場合いったん法定相続分で相続したものと仮定して申告・納税を行います。 仮で申告書を作成し、仮で計算した納税を行い、改めて正式に遺産分割方法が決まった段階で税務署に対して修正申告・更正の請求を行います。その際に払い過ぎた人はその分を戻してもらい、不足している人は追加で支払います。 未分割申告の注意点 未分割のまま相続税の申告をする場合は、小規模宅地等の評価減や配偶者の税額軽減など、遺産分割が決定していれば使えたはずの特例が使えない場合があります。 配偶者の相続分が決まらなければ税額軽減を受けようがありませんし、不動産を相続する人が決まらないと小規模宅地等の評価減が受けられるかどうかがわからないからです。 小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、相続税が大きく減額される有利な特例ですので、これらを使用しないで相続税を計算すると納税額が高額になり、納税資金の準備をするのが難しくなってしまいます。 申告期限後3年以内の分割見込書の提出について いったん相続税の申告納税をすれば、修正申告等がいつまででも出来る様になるという訳ではありません。 将来特例を受けたいのであれば、当初の相続税申告の際に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出します。 そうすれば、申告期限から3年内の分割決定後、特例の適用が可能となります。 ただし、当初申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出していなければ、いくら3年以内に分割が決定し更正の請求を行っても、特例を受けることはできません。 当初の申告時に忘れずに添付することがとても重要です。 また申告期限から3年を経過してもなお、遺産分割が決定しない場合は、申告期限後3年が経った日から2ヶ月以内に、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を税務署に提出することで、判決確定の日など一定の日の翌日から4ヶ月以内に遺産が分割されれば、これらの特例を適用することが可能となります。 このように遺産分割が申告期限に間に合わない場合でも、税務署は待ってくれません。 相続人同士でもめている場合以外でも、「自分に相続税の申告が必要だと思っていなかった」などの理由で、気が付けば申告期限間近になっていたという方もいらっしゃいます。 申告手続きの上でも、手間が増えるばかりではなく、様々なリスクがありますので、なるべく申告期限までに遺産分割を決定するのが賢明だと思われます。