空き家の譲渡所得の特別控除 2018.6.21
平成28年分の確定申告より適用可能となった特例です。 「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」と国税庁のホームページ内のタックスアンサーで呼ばれています。 制度設立の趣旨としては、古い空き家をそのまま放置しておくと用心が悪いので、有効活用しましょう、という具合です。 この特例を受けるための詳細な要件については以前このブログでもご紹介したとおりですが、なるべく簡単に言うとすれば、 「一人住まいであった方が亡くなった後、空き家となった建物(及びその敷地)を相続等により取得した人がその建物等を、 ①耐震基準を満たすようにリフォームして売却 ②建物を取り壊して更地として売却する」ことが最低限必要な要件となります。 なお、建物は昭和56年5月31日以前に建築されたものであることなどの要件があります。 土地建物の売却の場合については、所得税の計算上給与所得などの他の所得とは分けて計算する分離課税方式が採用されており、土地建物を売却した時の価額が購入した時の価額を上回る場合、その売却益に対して課税されます。 一定の適用要件を満たす場合には種々の特例が設けられており、今回の空き家の譲渡所得の特別控除であれば、その利益から3,000万円を控除することができます。 土地建物の分離課税の場合には、税額ベースで所得税・住民税合わせて約20%の税率でもって課税されますので、この特例によってMAX600万円ほど税負担は軽減されることとなります。 2月に入って、初めてこの特例を受けるための確定申告の依頼を受けましたが、実は昨年の春頃からこの件について問い合わせを受けていました。 なので、申告に関する手続などの作業への流れはスムースでした。 所得税の確定申告は税務署にしますが、この特例を受けるために必要な書類は市役所などで発行してもらわないといけません。 必要な書類とは「被相続人居住用家屋等確認書(以下、「確認書」)」です。 市役所等へ「被相続人居住用家屋等確認申請書(以下「申請書」)を提出して、確認書を発行してもらうわけですが、申請書と合わせて住民票や不動産の売買契約書などの書類を提出しなければなりません。 どうも市役所等のホームページでは要領を得ず、一度電話で問い合わせてみるかどうか迷いましたが、近かったということもあり直接市役所の担当課を訪れました。 そこで聞いた話では、例えば「住民票の発行日付はこの時期のものでないといけない」とか「この特例を受けるために申請書の他に当自治体で独自に用意している書類があり、インターネット上では用意していないので、これも提出が必要」とか確認出来たので、直接行って話を聞いておいてよかったです。 この特例を受けることができるのを前提に進めているので、納税者の方からお預かりした書類で税金の計算は出来ています。ただ、書類が整わないのです。 繰り返しになりますが、この特例を受けるのと受けないのとでは最大で600万円ほど税額に差が生じてしまいます。 600万円を稼ごうと思ったらどんな苦労が必要か想像してみてください。 今回の特例で「更地にして売却する」ケースですと条文上、「取り壊してから売る」というのが適用要件です。 順番が大切で「売ってから取り壊す」場合には特例を受けられませんので、事前に専門家に相談することをお勧めします。 今回ご紹介した特例を受けるためには他にも要件を満たす必要がありますので、不動産の売却をご検討の方、又は特例を受けられるかもしれない、と思った方はお気軽に当事務所へお問い合わせください。 結局、今回確認書の交付を受けるまでに1か月以上かかりました。 手続の用意やご相談はお早めに。