自筆証書遺言書の方式緩和について 2019.2.4
平成31年1月13日に、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号。平成30年7月6日成立。)のうち、自筆証書遺言の方式の緩和に関する部分が施行となりました。
平成31年1月13日以降に自筆証書遺言をする場合に、新しい方式によって遺言書を作成することができます。この日より前に新しい方式によって自筆証書遺言書を作成している場合には、その遺言書は効力がないことになるので注意が必要です。
自筆証書遺言は、遺言者が遺言の内容の全てを手書きで作成する遺言です。
公正証書遺言に比べ、費用をかけずに作成できますが全て手書きしなければならない為、財産が多数ある場合、遺言者の負担が重く記載漏れや形式に不備があることもありました。
今回の改正では、遺言書に添付する財産目録をパソコンで作成できることになりました。また銀行通帳のコピーを添付したり、不動産の登記事項証明書等を目録として添付したりすることも可能になります。
ただし自書によらない財産目録には、すべてのページに署名捺印をする必要があります。
パソコンで作成できるのはあくまでも財産目録のみですので、遺言書本体については、今まで通り全て手書きをする必要があります。
自筆証書遺言書は今まで自宅で保管されることが多く、遺言書の発見が遅れたり、遺言書が紛失したり、相続人等により改ざん・廃棄されたりする恐れもありました。
このような問題を改善するため、今回の遺言書の保管等に関する法律の成立により、法務局で自筆証書遺言書の原本を保管してもらえるようになります。
施行期日は平成32年7月10日なのでまだ少し先の話になりますが、今回の改正で随分、自筆証書遺言書を作成しやすい仕組みとなりました。
とはいえ、遺言書の内容に不備がないか、文言に漏れがないか、しっかりと確認しなければいけません。せっかく遺言書を遺しても、文言が明確でないと、相続人の間でかえって揉めてしまう原因にもなりかねません。
自筆証書遺言書を自身で作成する場合でも一度専門家に相談する方が安心です。