被相続人からの生前贈与 2022.6.27
相続税の申告をする際、被相続人から生前贈与を受けた財産を相続財産に加算しなければならない場合があります。
1.相続時精算課税制度を利用していた場合
2.相続財産を相続または遺贈により取得した者が相続開始前3年以内に被相続人から生前贈与を受けていた場合
今回お話したいのは「2」に該当する場合の相続税申告書の書き方についてです。
まず、対象となる者は「相続財産を相続または遺贈により取得した者」です。
この書き方の通り、法定相続人でない人も対象となることがあります(例:お孫さんが死亡保険金を受け取った場合など)。
逆に、法定相続人でも相続財産を取得していなければ、この加算制度の対象外となります。
つまり、相続では何も受け取っていないが、死亡前3年以内に被相続人から贈与受けたことがある、という人はこの贈与加算による申告は必要ありません。
対象となった者は相続税申告書第14表に記載して、受贈財産を申告しなければなりません。
この第14表の記載誤りで修正申告を行う方が相当数いらっしゃるので、ここは注意が必要です。
3年以内の贈与加算の記載欄②欄に「特定贈与」という言葉が書いてあります。
注意書きを読むと「特定贈与」とは居住用財産の贈与と記載がありますが、はっきり「配偶者控除」とは書いてありません。
また、特例贈与財産についての記載は一切ありません。
ここで注意すべきは「特例贈与」と「特定贈与」の取り違えです。
贈与税の税額計算を行う際、受贈者が満20歳(令和4年4月1日以降は満18歳)以上であり、なおかつ直系尊属からの贈与であればこれを「特例贈与財産」として税額計算(税率軽減されます)が行われます。(措法70条の2の5)
これとは別に、婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用財産の贈与を行った場合、最大2,110万円まで非課税となる特例があります。
通常、「配偶者贈与」や「贈与税の配偶者控除」といった呼び方をしますが、3年以内贈与加算の項目ではこれを「特定贈与財産」と呼びます。(相法19条)
上記「特例贈与」と「特定贈与」が相続開始前3年以内に行われた場合、前者は相続税申告対象ですが、後者は加算不要となります。
実際には「特例贈与」で申告・納税の対象であるにもかかわらず、うっかり相続税申告書第14表で「特定贈与」としてしまうと、相続財産に加算されず、後日修正申告をしなければならなくなってしまうのです。(軽易な計算誤りですので、過少申告加算税は不徴収になると思いますが、延滞税は支払わなければなりません。)
言葉の意味を理解して正しく申告することが大事ですね。
実際に相続税の申告書を提出される方で、今回のお話に該当するかも、と思われた方は顧問の税理士にご確認されるのが良いと思います。
もちろん、弊社でも無料相談を承りますので、お気軽にご連絡ください。