譲渡所得申告、その前に 2020.1.7
不動産譲渡して確定申告を行う際、「収用代替」「居住用資産の買換」「事業用資産の買換」等の特例を適用すると所得金額・納税額がかなり低くなります。
ただし、これは非課税規定ではなく、将来に向かって課税が繰り延べられているだけで、実際には買換資産の取得価額を圧縮して、将来その不動産を譲渡した時に繰り延べた課税を実現しようということです。
事業用の減価償却資産であれば、毎年の減価償却費が実額計上されないのでわかりますが、買換資産が居住用財産や宅地であった場合、または特例適用した方がお亡くなりになり、それを相続により取得した後に譲渡した場合など、ご本人や税理士でさえ気付けないこともあります。
圧縮された取得価額を無視して、実額計算により確定申告したら・・・後日、必ず税務署から指摘を受け修正申告、ということになってしまいます。特例を受けたのが10年前でも20年前でも圧縮計算は引き継がれます。
では、税務署はなぜそんな昔の特例を把握することができているのでしょうか。
税務署には「取得価額引継整理票」という書類があります。
これは、特例適用により行われた特殊な計算結果を引き継ぐために、課税庁が残したメモのようなものです。原則として、買換物件所在地の管轄税務署に保管してあります。
場合によっては、特例適用の確定申告書を提出した税務署にも記録が残っていることがあります。
料金は無料ですので、疑わしい場合には積極的に問い合わせましょう。
古い書類(しかも手書き)ですので、判読できない場合もありますが、応対した資産課税担当の職員が計算をして教えてくれるはずです。
買換後、相続が発生している場合には、お亡くなりになられた方のお名前も伝えた方が良いでしょう。