貸金庫の相続手続きについて 2019.2.19
亡くなった人が生前利用していた貸金庫は、死亡後どうなるのでしょうか。また、その後の手続きはどのようになるのでしょうか。 今回は貸金庫の相続手続きについてお話しします。 貸金庫を契約していた方が亡くなったからといって、貸金庫の契約が終了することはありません。しかし、銀行は貸金庫を契約していた人が亡くなったことを知ると口座を凍結するのと同じように、貸金庫も一時的に開閉できないようにしてしまいます。 その後は例え家族や相続人であっても、単独で貸金庫を開けることはできなくなります。 あらかじめ代理人をたてている場合もありますが、代理人はあくまでも契約者が生存しているときに代理で貸金庫の開閉ができるというものなので、契約者の死後は代理人も開閉することはできません。 故人の遺品の中に貸金庫の鍵を見つけたり、故人の預金通帳から貸金庫の手数料を引き落とされているのに気付き、はじめて貸金庫の存在を知ることもあります。 貸金庫の契約者が亡くなると、貸金庫の中にある財産は、遺言書で特別の指定がない限り、遺産分割協議が整うまでは相続人全員の共有財産となります。 その為、誰かが単独で貸金庫を開ける事ができず、相続人全員の同意のもと、貸金庫の相続手続を行う必要があります。 もし誰かが貸金庫を単独で開けることができるとすると、貸金庫の中のものを勝手に抜き取ってしまう恐れもあるからです。後々、問題にならないように、仮に契約者の死後に貸金庫が凍結しておらず、開閉可能な場合でも単独で貸金庫を開けるのは控えた方がよいでしょう。 実際に手続を行う場合は、 基本的に相続人全員が貸金庫のある銀行に行く必要があります。もし行けない場合には、他の相続人に委任することもできます。その場合委任状を作成します。それぞれの銀行が手続きに必要な書類を用意している場合もあるので、事前に確認しましょう。 一般的に必要な書類としては、預金口座の解約手続きとほぼ同じで、相続関係がわかる戸籍謄本等一式と相続人全員の印鑑証明書などです。 貸金庫の発見が遅れると、遺産分割協議を進めることが出来なかったり、せっかく整った遺産分割をもう一度やり直したりすることにもなります。 また貸金庫の相続手続きにも手間と時間がかかりますので、出来れば生前に対策をしておくことをお勧めします。 遺言書では遺言執行者というのを定めることができ、遺言執行者の権限を定めることができますので、遺言執行者に貸金庫を開ける権限を与えると記載しておけば、遺言執行者が単独で貸金庫を開けることができます。(但し通常単独で当該行為をする事は無く、誰か親族代表と一緒に行います。)相続人全員の同意がなくても開けることができるので、スムーズに遺産分割協議を進めることができます。 その際に書かれた遺言書を貸金庫に入れてしまわないように注意しましょう。せっかく遺言執行者を遺言書で指定しても、肝心の遺言書が貸金庫に入ったままでは、意味がありません。