贈与税の相続時精算課税制度 第2回 〜 2018.4.4
前回に続き、相続時精算課税制度(以下「精算課税」といいます。)について、ご紹介します。 ・2,500万円までの贈与については贈与税がかからない。 もしも精算課税を利用せずに親から一度に2,500万円の財産の贈与を受けたとすると、財産をもらった人(その年1月1日現在で20歳以上とします)は約810万円の贈与税を国に納めなくてはなりません。同額を暦年贈与制度で毎年こつこつ1年間の基礎控除額110万円の範囲内で贈与するとしたら、贈与税はかかりませんが20年以上の長い年月を要します。 財産を贈与する人について、将来相続税がかからないであろうという人、相続税の基礎控除額の範囲内の方については、将来の相続を待たずして、多額の財産を贈与税・相続税の負担なく移転できるという意味で有効な制度です。 ただ、平成27年1月1日以後に開始する相続については、税制改正により相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられたこともあり、過去に相続税がかからないつもりで精算課税を実行したにもかかわらず、改正後は相続税がかかることになってしまった、という方も少なからずいらっしゃいます。 ・贈与時の価額で、将来相続税の計算を行う 現金であれば、価値の変動はないと言えるでしょうが、精算課税を利用して、株価3,000万円の株式の贈与をした場合はどうでしょうか? 会社の業績や景気の悪化などで相続開始時点では株価は1,000万円に下がってしまった、という場合でも、贈与時の価額で相続税の計算を行うことになりますので、申告書には「3,000万円」と書かなくてはなりません。 ですから、株式のように価額の変動リスクが伴う資産や家屋など将来的に価値が減少する資産は精算課税での贈与は不向きでしょう。 逆に将来絶対に値上がりする資産であれば、精算課税を利用して安い価額のままで固定できるため、相続税対策として有効です。 そういう資産があれば是非教えていただきたいものです。 次回も引き続き相続時精算課税制度の注意点についてご紹介します。