転借権、転貸借地権の相続税の評価方法 2019.9.24
人から借りたものを第三者に貸すことを転貸借といいます。
「又貸し」された人の権利を転借権といいます。
例えば、Aさんの土地をBさんが借り、BさんがAさんから借りた土地をCさんに「又貸し」したとします。
「又貸し」されたCさんの「土地を利用できる権利」は転借権となります。転借権は、借地権の上に更に借地権がある状態の事を指します。
土地を所有しているAさん、土地を借りているBさん、更にBさんから「又貸し」されたCさん、それぞれが土地に関する権利を持っていることになります。
3人それぞれが持っている権利は財産として相続税評価の対象となります。
ではそれぞれの権利の評価はどのようにするのでしょうか。
1.貸地の評価と借地権の評価
転借権の評価方法の前にまずは基本となる貸地の評価と、借地権の評価の仕方を御紹介します。
借地権とは、建物の所有を目的とする地上権、又は土地の賃借権の事をいいます。
貸地の評価や借地権の評価には借地権割合を使います。
借地権割合は場所によって、30%から90%に決められていて、国税庁のホームページに掲載されている路線価図・評価倍率表で確認することができます。
《具体例》
地主であるDさんがEさんに土地(自用地評価10,000,000円)を貸し、Eさんが土地の上に自分の家を建てて住んでいるとします。
借地権割合60%の地域であれば、自用地の価額に60%を乗じた価額が土地を借りているEさんの借地権の評価額になります。
土地を貸しているDさんの貸地の評価はEさんの権利分である60%を引いた額となります。
Dさん貸地の評価額
{10,000,000円(自用地の価額)×(1-60%)=4,000,000円}
Eさん借地権の評価額
{10,000,000円(自用地の価額)× 60% =6,000,000円}
DさんEさんそれぞれの評価額を合計すると自用地評価である10,000,000円となります。
2.転借権の評価
次に土地を「又貸し」した場合の転借権の評価方法についてです。
《具体例》
地主であるDさんがEさんに土地(自用地評価10,000,000円)を貸し、Eさんがその土地をFさんに「又貸し」し、Fさんがその土地に自分の家を建てて住んでいたとします。
借地権割合60%の地域であれば、Dさんの評価額は先程と変わらず、自用地の価額に60%を乗じた価額に更に60%を乗じた金額がFさんの評価額になります。
土地を貸しているDさんはEさんの権利分である60%を引いた額となります。
Dさん貸地の評価額
{10,000,000円(自用地の価額)×(1-60%)=4,000,000円}
Eさん借地権の評価額
{10,000,000円(自用地の価額)× 60% ×(1-60%)=2,400,000円}
Fさん転借権の評価額
{10,000,000円(自用地の価額)× 60% × 60% =3,600,000円}
3.転借権が貸家の用に供されている場合
転借権が貸家の敷地の用に供されている場合の転借権(貸家建付転借権)の価額は、次の算式により計算した価額によって評価します。
転借権の価額―転借権の価額×借家権割合×賃貸割合
人から借りた土地を「又貸し」するには地主であるその土地の持ち主に許可を受ける必要があります。
借りた土地を地主に無断で「又貸し」したり、他の人に譲渡したり、売却を行うことはできません。
土地を「又貸し」している場合、それぞれの権利がどうなっているか判断が難しくトラブルになることもあります。
現在「又貸ししている土地がある」「土地を又借りしている」という方は、生前に権利関係がどうなっているか整理しておくことをお勧めします。