配偶者居住権とは何ですか? 2022.8.1
配偶者居住権とは、令和2年4月1日以降に発生した相続から認められるようになった制度で、夫婦の一方が亡くなった場合、残された配偶者が亡くなった人が所有していた建物に亡くなるまで、もしくは一定の期間、無償で居住することができる権利のことです。
建物の価値を「所有権」と「居住権」に分けて考え、残された配偶者は建物(居住用家屋)の所有権を持っていなくても一定の要件があり、居住権を取得することで、亡くなった人が所有していた建物に引き続き住み続けられるようにするものです。
~配偶者居住権が成立するための要件~
1.残された配偶者が、亡くなった人の法律上の配偶者であること
2.配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に亡くなったときに居住していたこと
3.①遺産分割(相続人の間での話し合い)
②遺贈(配偶者居住権に関する遺言、又は死因贈与契約書がある場合)
③死因贈与(配偶者居住権に関する遺言又は死因贈与契約書がある場合)
④家庭裁判所の審判のいずれかにより配偶者居住権を取得したこと(相続人の間で①遺産分割の話し合いが整わない場合)
しかし亡くなった日が令和2年3月以前の場合、遺産分割協議が令和2年4月1日以降であっても、配偶者居住権は設定できません。
遺言で配偶者居住権を遺贈することができますが、令和2年4月1日以降に作成された遺言である必要があります。
~配偶者居住権と登記~
配偶者居住権は、前記の成立要件を満たしていれば権利として発生していますが、配偶者居住権を第三者に対抗するためには登記が必要であり、居住建物の所有者は配偶者に対して配偶者居住権の登記を備えさせる義務を負っています。
配偶者居住権の設定登記は配偶者(権利者)と居住建物の所有者(義務者)との共同申請となります。
配偶者居住権の設定登記ができるのは建物(居住用家屋)のみで、その敷地である土地には登記できません。
亡くなった人が建物を配偶者以外と共有していた場合は、配偶者居住権の対象となりません。
相続に関するお悩みがある方は小さなことでも結構ですので、是非一度私共事務所へお問い合わせ下さい。