養子の代襲相続 2020.3.31
相続財産を自身の望む者に遺したい、そういった目的で養子縁組を行う方は多くいらっしゃるでしょう。
養子は嫡出子と同じ身分を取得することとなり、養親と血縁関係がなくても実子と同じ相続権を有することとなります。
しかしながら、こと「代襲相続」となると、養子は大きな制限を受けることとなります。
民法第887条第2項ただし書きの規定により「被相続人の直系卑属」でない者は代襲相続人となり得ないのです。
直系卑属であるかどうか、これは養子の子がいつ出生したかによります。
養子縁組後に出生した子は「被相続人の直系卑属」となり、代襲相続権を有することとなりますが、養子縁組時既に出生している子は「被相続人の直系卑属」ではないと判定されてしまいます。
例えば、配偶者、子、両親及び兄弟姉妹のいない人間(以下甲とします)が近親の親族(以下乙とします)と養子縁組を行ったとします。
甲が死亡した場合、乙はもちろん法定相続人となりますが、もし甲よりも先に乙が死亡しており、乙の子(以下丙とします)が養子縁組前に出生していたとすると、丙は甲の財産を相続することはできず、甲の財産は相続財産法人を経て国庫に帰属することとなる可能性が高くなってしまいます。
これではせっかくの養子縁組が何の効果もなかったということになってしまいますね。
そうならないための手段の一つとして、「遺言」があります。
遺言の形式は、やはり公正証書をお勧めします。具体的な書き方としては、
「もし乙が甲より先に死亡していた場合には、甲の財産は丙に遺す」という内容を入れることで、前述のようなリスクは回避できると思います。
レアケースではありますが、覚えておきたい事項ですね。