土地の売買契約締結後に相続が開始した場合の財産の評価 2019.1.23
不動産の売買が行われる際、まず契約時に手付金の授受があり、その後残代金の決済というのが大まかな流れです。 今回は土地の売買契約を締結後、決済日を待たずに亡くなった場合の財産の評価についてまとめてみました。 【売り主】 土地の所有権は残代金の決済を終え、引渡しをもって移転します。通常、売買契約書にそのような条項が設けられています。つまり、決済引渡しが完了するまではその土地は売り主のモノというわけです。 一方、相続税の計算上は異なる取扱いがされます。この取扱いは財産評価基本通達ではなく、「平成3年1月11日付国税庁資産税課情報第1号」で示されています。 相続人においては土地を財産として取り扱いません。 「相続開始時点における当該契約の残代金請求権」をもって財産の評価額とします。 売買契約締結後、決済日前に相続が開始した場合、土地の所有権は被相続人に帰属しますが、残代金を請求する権利を確保するためのものとして考えるのです。 また、相続開始時点で未払いであった不動産売却手数料は被相続人の債務として債務控除の対象となります。 【買い主】 買い主について相続が発生した場合には、土地の引渡請求権として、土地の売買代金が財産として計上されます。また、土地の売買代金その他の費用のうち未払いのもの、例えば残代金や不動産購入手数料については債務控除の対象となります。 また、買い主側では特例的に、当該土地を相続財産として評価することも認められています。この場合の土地の評価は一般的な土地と同じく、路線価等による評価額となります。 〜以上が、土地の売買契約締結後、引渡日前に相続が開始した場合の相続税の計算上の一般的とされる取扱いです。 判例ではこれとは異なる取扱いとなった判決もあります。 まれなケースかも知れませんが、特別な取扱いが定められているものもあります。相続税の申告の際には是非一度私ども事務所へご相談ください。