相続税
セットバックが必要な場合の土地の評価 2020.6.8
(1)セットバックって何? 建築基準法が出来たのは1950年(昭和25年)11月23日と随分前です。 この法律では幅員4m以上のものを「道路」と規定しており、新たに家屋等を建てるには4m以上の道路に接する事が義務付けされています。 既存の家屋等が建築されている場合、即刻後退して下さいと云う訳ではなく、幅員4m未満でも家屋の建て替えをするまでは猶予するという規定があります。 そこで、その建て替え時は道路の中心線から2m後退して建築しなければならない事を通常セットバックと云います。 (2)セットバッ…
住宅取得等資金の贈与の非課税について 2020.6.1
「住宅取得等資金の贈与の非課税」は、多くの方が活用される制度だと思います。 今回は、床面積の基準についてお話します。 新築又は取得をした住宅用の家屋は日本国内にあり、登記簿上の床面積(区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分があなたの居住の用に供されるものが床面積の要件になります。 (1)登記簿上表示される床面積 住宅取得等資金の贈与の特例の適用にあたっては、「登記簿上表示される床面積」で判定します。 なお、マンショ…
誰もが悩む! 居住用財産はどう相続するのが良いか? 2020.5.25
相続財産が、ほぼ自宅だけという場合 公平に分けることが難しく、遺産分割はもめがちです。 自宅の相続では、主に次の3つが考えられますがそれぞれにメリットデメリットがあります。 ①【代償分割】特定の相続人が相続する 相続する不動産に相続人の誰かが住んでいるときには効果的な方法で住んでいる相続人は住み続けることができ、他の相続人も金銭をうけとり納得できそうです。 しかし、その金銭が相続できたはずの権利に見合うものかどうかを評価するのは至難の業で、また納得できる額であった場合も、そもそもその金銭を不動産…
民法改正による配偶者居住権について 2020.5.12
40年ぶりの民法の相続法改正により、「配偶者居住権」が令和2年4月1日から施行されました。この改正は高齢化社会を背景とした配偶者の権利の拡大となっています。 配偶者居住権とは故人が所有していた居住用建物において、配偶者が終身又は一定期間、無償で居住することを認める権利です。 成立要件は以下に該当する場合です。 1、被相続人(故人)の配偶者であること 2、相続開始時に被相続人の所有していた建物に居住していること 3、遺産分割、遺贈、死因贈与、家庭裁判所の審判により取得したこと ≪具体例1≫ 相続人…
養子の代襲相続 2020.3.31
相続財産を自身の望む者に遺したい、そういった目的で養子縁組を行う方は多くいらっしゃるでしょう。 養子は嫡出子と同じ身分を取得することとなり、養親と血縁関係がなくても実子と同じ相続権を有することとなります。 しかしながら、こと「代襲相続」となると、養子は大きな制限を受けることとなります。 民法第887条第2項ただし書きの規定により「被相続人の直系卑属」でない者は代襲相続人となり得ないのです。 直系卑属であるかどうか、これは養子の子がいつ出生したかによります。 養子縁組後に出生した子は「被相続人の直…
申告漏れにご注意 2020.2.26
所得税や相続税・贈与税は申告納税方式という制度が採られていて、納税者が自分で税金を計算して納税します。相続であれば「今回の相続でこれだけの価値の財産を取得したので、いくらの税金を納めます」という具合です。 つまり税務署側は「みんな正直に申告してくれているだろう」という性善説に基づいていると言えます。 財産や収入を隠す行為は脱税、つまり犯罪なのでもってのほかですが、「相続税の計算上財産として計上しなければならないとは思わなかった」そんな財産についてのお話です。 今回は「生命保険契約に関する権利」に…
相続税の納税地 2020.2.10
納税地、例えば所得税の場合には、住所地(居所)・事業所所在地の選択適用、法人税の場合には本店所在地と各税法で定められています。 では、相続税・贈与税についてはどのような規定があるのでしょうか。 相続税法第62条第1項には「この法律の施行地にある住所地をもって、その納税地とする」とあります。 また、同条第2項では「この法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるものは、納税地を定めて、納税地の所轄税務署長に申告しなければならない。その申告がないときは、国税庁長官がその納税地を指定し、これを通知す…
相続における養子の取扱いについて 2019.11.11
相続税の計算をする際、次の4項目については、民法上の法定相続人の数を基に計算を行います。 ・遺産に係る基礎控除額 ・生命保険金の非課税限度額 ・死亡退職金の非課税限度額 ・相続税の総額 養子は民法の規定では、養子縁組の日から養親の嫡出子たる身分を取得する、とあります。 したがって、養子は養親と一親等の血族になるだけでなく、養親の実子と兄弟姉妹になるなど養親方との親族関係において二重の身分が生じます。 なお、養子の取扱いについては相続税法において一定の規制が行われています。 1つは、実子がいる場合…
相続開始直前に上場株式が売却された場合の相続財産 2019.10.28
相続開始直前に被相続人が上場株式を売却していた場合、売却した上場株式は相続税の計算上どのように評価するのでしょうか。 被相続人が相続開始前に上場株式を売却していても、相続開始日までに代金決済が済んでいれば、売却代金が被相続人の財産として計上される訳ですから問題ありません。 しかし、売却をしてから相続開始の日までに代金決済がまだ終わっていない場合が稀にあります。上場株式を売却した場合、売却代金をすぐに受け取ることはできず、通常3営業日後に引渡し及び代金決済がされます。 株式を売却している訳ですから…
転借権、転貸借地権の相続税の評価方法 2019.9.24
人から借りたものを第三者に貸すことを転貸借といいます。 「又貸し」された人の権利を転借権といいます。 例えば、Aさんの土地をBさんが借り、BさんがAさんから借りた土地をCさんに「又貸し」したとします。 「又貸し」されたCさんの「土地を利用できる権利」は転借権となります。転借権は、借地権の上に更に借地権がある状態の事を指します。 土地を所有しているAさん、土地を借りているBさん、更にBさんから「又貸し」されたCさん、それぞれが土地に関する権利を持っていることになります。 3人それぞれが持っている権…