相続税
贈与税の申告内容の開示請求 2018.10.31
相続税の計算をする際には当然、被相続人の遺産総額を知る必要があります。 この遺産の額には、相続開始前3年以内の贈与(通常の暦年課税)、相続時精算課税による贈与の金額を足し戻す必要が有ります。 過去の贈与について資料が無く、いくらの贈与を受けたか分からない場合は、贈与税の申告内容の開示請求制度により、相続時精算課税を含む贈与税の申告内容を確認する事が出来ます。(相続税法第49条第1項) 贈与税の申告内容の開示請求制度とは、相続税の申告や更正の請求をしようとする者が、他の相続人等が過去に被相続人から…
申告書の提出義務者が死亡した場合 2018.10.24
相続税の申告書の提出期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。もし、相続税の申告義務がある人が、この10ヶ月の間に相続税の申告書を出さずに死亡してしまった場合はどうなるのでしょうか。 申告書の提出義務者が、提出前に死亡した場合は、その提出義務者の相続人(包括受遺者を含みます。)が申告書を提出する義務及び相続税を納付する義務を承継します。 申告書の提出義務・納税義務の承継者となった人は提出期限が延長される、という特則があります。 例えば、その年の1月1日に死亡したAさ…
婚姻している未成年者の「未成年者控除」 2018.10.10
相続税法上、20歳未満である未成年者が相続人となった場合、未成年者控除という規定が設けられています。未成年者が成人するまでにかかる養育費や教育費の負担に配慮して、年齢に応じてその未成年者の相続税額から一定の額を差し引くことができます。 ここで言う未成年者とは、20歳未満である者を指しますが、民法では20歳未満の未成年者でも婚姻することで成年者とみなされます。 では、相続税を計算する上で婚姻した20歳未満の人が相続人の場合には、未成年者控除はどうなるのでしょうか。 民法上は、満20歳で成年者と定め…
相次相続控除とは 2018.9.19
相続税法上、短期間に相次いで相続が発生した場合の税負担を軽減するために「相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)」という制度が設けられています。 まず相次相続とは、その言葉通り相次いで相続が開始することを言います。 相次相続控除は、相続により財産を取得した人が相続税を払い、その後10年以内にその人が死亡した場合の税負担を軽減する措置です。 この場合1度目の相続を「第1次相続」、2度目の相続を「第2次相続」と呼びます。 例えば、祖父が亡くなり、父がその遺産を引き継いだ後、すぐに父も亡くなった場合、子…
兄弟姉妹の相続「第3順位相続」とは!? 2018.7.18
最近、兄弟姉妹(けいていしまい)の方が相続人となるケースが増えてきています。当事務所でも兄弟姉妹の相続についてご相談に来られる方は非常に多いです。 兄弟姉妹の相続は第3順位相続と呼ばれています。相続出来る人には順位があり、兄弟姉妹は法定相続人の優先順位では第3順位にあたるからです。 配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人となります。 次に第1順位で相続の権利があるのが直系卑属、つまり子供です。子供が亡くなっている場合は孫、孫も亡くなっている場合は曾孫と下に権利が移っていきます。(代襲相続といいます…
「相続についてのお尋ね」が届いた場合 2018.6.27
ご家族や親せきの方が亡くなられてしばらくすると、税務署から「相続についてのお尋ね」という封書が送られてくることがあります。 この中には「相続税の申告要否検討表」という書類が入っています。相続開始から6~8ヶ月経過した頃に届くことが多いようです。突然税務署から郵便が届き、驚く方も多いでしょう。 この「相続についてのお尋ね」というのは、一体どのようなものなのでしょうか。 死亡届が役所に出されると、その情報は税務署にも通知される事になっています。 しかし全員に対して「相続についてのお尋ね」を送付するわ…
国税庁HP 相続税の申告要否判定コーナー 2018.5.16
国税庁のホームページ内には「相続税の申告要否判定コーナー」が用意されており、ご自身で画面の内容に従って入力していくと大まかに相続税の申告が必要かどうかの計算ができるようになっています。 相続税の申告が必要かどうかは被相続人の所有に属していた全財産から債務の額を控除した金額が遺産に係る基礎控除額を超えるかどうかにより判定します。 【遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数】 例えば、被相続人に配偶者がおり、子供が1人の場合、基礎控除額は4,200万円です。 相続税の計算…
贈与税の相続時精算課税制度 〜 第4回 2018.4.18
・2,500万円の特別控除の適用を受けるには贈与税の期限内申告が必須条件! 相続時精算課税制度を選択しようとする場合はそもそも贈与税の期限内申告が必要ですので、最初の年については忘れることはないでしょう。 一度この制度を選択すると、一生やめることはできないため、精算課税を選択した親から子に行われる贈与については極端な話、例えそれが1万円の贈与であっても、原則でいえば贈与税の申告が必要となります。 精算課税制度適用初年度に1,000万円の贈与を受けた場合、特別控除額の2,500万円以内ですので、贈…
贈与税の相続時精算課税制度 〜 第3回 2018.4.11
今回も相続時精算課税制度(以下、「精算課税」といいます。)についてのお話です。 [収益部分についても移転することができる] 例えば、駐車場として貸し付けている土地や貸し付けているアパートなどの賃貸不動産を、精算課税を使って贈与すると、不動産の所有者は不動産の贈与を受けた人になるので、そこから生まれる収益も贈与を受けた人(新たな所有者)に帰属します。 推定被相続人の財産の増加を抑えることは相続税対策という観点からも有効ですし、早期にその収益を享受できれば贈与を受ける人にとってもメリットがあります。…
贈与税の相続時精算課税制度 第2回 〜 2018.4.4
前回に続き、相続時精算課税制度(以下「精算課税」といいます。)について、ご紹介します。 ・2,500万円までの贈与については贈与税がかからない。 もしも精算課税を利用せずに親から一度に2,500万円の財産の贈与を受けたとすると、財産をもらった人(その年1月1日現在で20歳以上とします)は約810万円の贈与税を国に納めなくてはなりません。同額を暦年贈与制度で毎年こつこつ1年間の基礎控除額110万円の範囲内で贈与するとしたら、贈与税はかかりませんが20年以上の長い年月を要します。 財産を贈与する人に…